キレやすいあなたをつくったのは?
まず、仕事やプライベートなど日常生活で問題と思われる状況を書き出すことからスタートしてみてください。たとえば、「つい娘にカッとなって怒鳴ってしまう」。そして、この自分が問題と思える行動の裏にはどのようなビリーフがあるかを考えていきます。
この例で言えば、「カッとなって怒鳴ってしまう」のは、「子どもは親の言うことを聞くべきだ」「片づけができない子になると将来ダメな人間になる」と自分が無意識に思っているからではないか、と。
このように、「問題」となることからスタートしてその「根っこ」にあるビリーフを探っていき、自分なりの「言葉」にすることが最初のステップです。面白いことにこの手順を踏み、言語化に成功した段階で、自分を苦しめていたビリーフが変わり始めることは珍しくありません。
2. ビリーフのルーツを探る
ビリーフ(無意識の思い込み)の言語化を終えたら、次に、そのビリーフができた背景を探ります。なぜ、そのような思い込みができたのか? なぜそう信じるようになったのか? 私がクライアントを見て思うのは、多くの場合、幼少期の出来事や親の影響が色濃く出てくるケースが少なくないということです。ルーツは、家族の関係性や環境、または父親か母親の影響が多いものです。
たとえば、先ほど出た「子どもは親の言うことを聞くべきだ」というビリーフ。そのルーツを探ると、権威的な振る舞いの父親が思いついたとします。よく考えれば、父もまた「子どもは親の言うことを聞くべき」と口癖のように言っており、自分はその“教え”の通り、子を厳しくしつけてきた可能性がある、と自己推察ができます。
その結果、このビリーフができたルーツを「承認」することが重要です。つまり、そういう思い込みを自分が抱いたのは、おかしなことではなく、ごく“自然”なことだったと受け入れる。
なぜなら、どの子どもにとっても親の言動を肯定し、その親から認められようとすることは、親の保護の下で「生きて」いくのに極めて重要なことだからです。子ども時代の自分は必死だったのです。そしてその後、そのビリーフが自分の人生にどのような影響を与えてきたかを振り返ります。
多くの場合、様々な出来事を経て、自己立証といって肯定するプロセスを踏んで強化されています。そのルーツと歴史を知ることでビリーフの全体像が分かってきます。その上で、そのビリーフがもう不要なのかまだ必要なのかをじっくり思いをめぐらしてみましょう。