5000店舗、年間受検者数90万人目指す

会社員や公務員は定期的に健康診断を受けており、自営業、非正規雇用者やフリーター、専業主婦、無職の人でも40歳から74歳なら、住んでいる市区町村で糖尿病の検査も含む特定健診が無料か少ない負担で受けられる。ただ、自治体の特定健診の受診率は40%前後で、自営業、非正規雇用者やフリーター、専業主婦、無職の人の中には、定期的な健康診断を受けていない人も多い。

筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科准教授の矢作直也さんらは、「糖尿病アクセス革命」と題したプロジェクトを組み、2010年10月~15年3月、東京都足立区と徳島県の薬局計20店舗で、簡易検査を希望した4724人に、糖尿病かどうかを判断する重要な数値「ヘモグロビンA1c」の測定を行った。ヘモグロビンA1cは、過去1~2カ月の血糖値の指標となる数値で、6.0%以上は受診が必要、6.5%以上なら既に糖尿病になっている恐れがある。このプロジェクトでは、糖尿病治療を受けている人は除外したが、ヘモグロビンA1cが6.5%以上の人が10.6%(502人)、6.0%以上の人は24.9%(1175人)で、4人に1人は糖尿病かその予備軍の可能性があった。ヘモグロビンA1cが高く受診を勧められた人の75%が、その後、医療機関を受診している。

ヘモグロビンA1cの測定器で、血液の入ったディスクを挿入すると約6分でHbA1cの数値が出る。

矢作さんは、「足立区と徳島県は糖尿病患者の多い地域だが、他の地域でもそれほど変わらない数値になるのではないかと予測している。定期的な健康診断を受けていない人が、検体測定室で気軽に検査を受け、早く糖尿病などの生活習慣病の早期発見、早期治療につながれば、健康寿命も伸ばせるのではないか」と話す。足立区では現在10カ所の薬局が検体測定室を開設し、区民500円、区民以外1000円でヘモグロビンA1cの簡易検査が受けられる。

厚生労働省によると、今年4月末現在、全国で検体測定室を開設しているのは1003店舗。都道府県別で最も多いのは石川県の165店舗で、佐賀県(72店舗)、東京都(65店舗)、福島県(62店舗)、茨城県(53店舗)は比較的多いが、福井県と島根県のように1カ所もない県もあるのが実態だ。ただし、現時点では、どこに検体測定室があるのか分かりにくい。矢作さんが代表を務める検体測定室連絡協議会は、スマートフォンやパソコンで検体測定室の簡易検索ができる「ゆびさきセルフ測定室ナビ」を今年の夏ごろまでに開設する予定だ。検体測定室連絡協議会は、さらなる普及活動と精度の高い簡易検査のための研修などを行い、3年後には、検体測定室5000店舗、年間受検者数90万人を目指す。