国立大学から文系学部がなくなろうとしている。大学の存在意義とは。国立大学が担うべき役割とは。教育とは何か。憂国論者、内田先生が怒っています。

「もう無理!」東大を去る教員が続出している

内田 樹
1950年生まれ。武道家。合気道凱風館師範。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。『街場の戦争論』など著書多数。2011年11月、神戸市内に武道と哲学のための学塾「凱風館」を開設。写真はその道場で。

国立大学から「文系」が消えようとしています。2014年8月、文部科学省から全国の国立大学へ、「教員養成系、人文社会科学系学部の廃止や転換」が「通達」されたのです。13年6月に閣議決定された「国立大学改革プラン」を受けたものでした。

この件は、「東京新聞」などの少数を除いて、ほとんど報道されませんでしたが、日本社会にとって由々しき問題です。国立大学の教員でも、この問題の深刻さについて積極的に発言しているのは横浜国立大学の室井尚教授ぐらいです(室井教授が課程長を務める横浜国立大学の人間文化課程は、先の通達によって廃止が決定されている)。その他の教員に特に大きな声を上げている人はいないようですが「もう何を言っても無駄」というのが本音でしょう。