チャレンジしなければ成長が止まる
「これからの経営テーマは、チャレンジし続けるということ。効果が出ないときもあるかもしれないが、チャレンジしなくなれば必ず成長は止まる。結果が出る出ないではなく、チャレンジし続ける、その実行段階が始まった」
トヨタ自動車の豊田章男社長は、5月8日に開いた決算発表会見の席上でこう強調し、「意思ある踊り場から実践する段階に移ってきた」と宣言した。
ちょうど1年前、豊田社長は2014年度を「意思ある踊り場」と位置づけ、量を追わずに質を高め、将来の成長に向けた足場固めを優先する方針を打ち出した。しかし、2014年度の業績は“踊り場”どころか、本業の儲けを示す営業利益が前年度比20.0%増の2兆7505億円、純利益は同19.2%増の2兆1733億円とともに過去最高。円安の追い風があったものの、純利益については日本企業として初めて2兆円を突破した。
それだけに、豊田社長がどんな発言をするのか注目されていた。その口から出てきたのは“最高益”という言葉ではなく、むしろ危機感だった。そして、何度も「チャレンジ」という言葉を口にした。
「トヨタでは、打席に立って1割しか打てないなら、ゼロ打数ゼロ安打が評価された。仮にヒットが打てなくてもバッターボックスに立った人が評価される会社にしたい。チャレンジし続ける人材を育成することが自分の一番大切な仕事だと考えている」