3■社内の裏情報を探れない“低感度”営業マン
営業マンに求められる社内力には、情報収集力も含まれる。大手自動車メーカー国内購買部門のA課長が話す。
「例えば、ある部品が5万点必要で、調達先に3万点しかないとき、『残り2万点は無理です』、としかいえない営業は社内でもオフィシャルな情報しかつかめていないとみていいでしょう。
できる営業マンは『これはA課長だからいうのであって、上の方にはまだいわないでほしいんですが』と前置きした上で、『うちにも最低限これだけのバッファー(緩衝部分)がある』とか、『海外営業から余って回ってくる可能性がある』とか裏情報を教えてくれる。こちらも裁量の幅ができてすごく助かります。
普段から上層部に探りを入れたり、他部門とのネットワークで聞き出したりする。アンテナの感度がすごい。立場が逆転したときは最優先で取引します」
4■バイヤーの空気を察知できない“KY”営業マン
大手自動車メーカーのA課長が続ける。
「相手方もこちらの要求にどうしても対応できない場合もあります。われわれが困るのは、できない事情がわからないことです。聞くと『いろいろありまして……』としかいわない。これが1番困ります。
一方、できる営業マンはこちらの空気を読んで、理由のさわりの部分だけでもさりげなく教えてくれます。こちらが、『ここだけの話だけれど海外に工場を建てる計画があるのか』とか、『何社とは聞かないが一社以上は断っているのか』といった質問をして、首を縦に振ってくれれば、あっ、先方は国内を縮小する予定で、断っているのはうちだけでないな、と想像できる。想像できればいいので、われわれも上司に説明ができます」
どこまで話せば相手は納得し、社内的にどこまで話しても大丈夫か、どちらも読めない・KYの二乗・営業マンはバイヤーの信頼を得られないということだ。