今、地殻変動が起ころうとしている。6年前もプレジデント誌は同じテーマを取り上げたが、当時の常識はもはや非常識になっていた。高度に複雑化するマーケットを生き残るには3つの「社内力」を磨く必要がある。あなたが読んでいる空気は本物だろうか──。
競合他社をにらんで力を競い合う強者適存の“ジュラシックパーク”の世界から、取引先と共に繁栄したいと願う者のみが生き残る“ホモサピエンス(知恵ある人)の世界”へ。営業マンを取り巻く環境に今、地殻変動が起ころうとしている──。今回、各業界の敏腕バイヤーたちに直撃インタビューを行い、第1にそれを実感させられた。
例を示そう。
プレジデント誌の「鬼バイヤーに聞く営業マンの条件」プロジェクトは2002年3月4日号に第1弾を掲載し、「売れない営業マン20例」を抽出した。日ごろ、表舞台には出ないバイヤーたちの歯に衣着せぬ証言は大きな反響を呼んだ。
その際、10人以上に取材を行い、営業マンに求める条件として「クイックレスポンス(迅速な回答)」をあげたのは1人か2人だった。それが今回は全員がまっ先に「最低限の基本」にあげた。
しかも、「クイックレスポンスができるのは当然ですが……」と“前置き”にするほどで、「今どきそんなこともできない営業マンは問題外」といった口ぶりだ。仕事に求められるスピード感がまったく違う。
確かにこの間、押し寄せるグローバル化の波、技術力の差が突如逆転するデジタル化の進展、中国やインドの台頭、原油高に原材料高……と、それまでの過去10年とは明らかに異なる速さで世界が変わろうとしている。
市場は日々激変している。
高度に複雑化するニーズに対応するには、バイヤー対営業マンの単なる“売りと買い”の関係だけでなく、互いの背後にある会社組織も巻き込んだ“協働戦線”的な取り組みが求められるようになっている。
まさに営業の新世紀。時代の空気を読めない“未進化”の営業マンはバイヤーによって淘汰されるのみだ。はたしてあなたは生き残れるか。
今回われわれが聴き取りを行ったのは、膨大な部品点数を扱う大手自動車メーカー、ハードとソフト両面で最先端を走る世界的IT企業、資材から電気設備まで幅広い調達を行う住宅メーカー、バイヤーが花形職種とされる百貨店……等々、多様な業界の「営業マンを見抜くプロたち」だ。また、人事部や宣伝部など、サービス系企業が激しく営業攻勢を仕掛ける管理部門にも取材を行った。
そこには耳を疑うような驚くべき生態の営業マンたちもいまだ生存していた。
バイヤーと握手ができるか、「二度と来るな」と追い払われるか。あなたはどちらか。ここにあげる「敏腕バイヤーたちに嫌われる絶滅種20例」の中に入っていないことを祈るのみである。