約2分で試作品ができる装置を導入

ドイツの化学会社BASFが日本の自動車部品市場に向けて大攻勢をかけようとしている。2012年のエンジニアリングプラスチック技術開発センターを皮切りに、14年にはデザインファブリーク東京をオープン。これは、素材とデザインについての用途開発を日本の自動車メーカーと一緒になって進めようというもので、ドイツ以外で開設するのは初めてだ。

BASFのアジア・コンポジット・センターが入居するドイツ・インダストリーパークビル(横浜市緑区)。

そして、この3月にはアジア・コンポジット・センターを開設した。「この施設は主に自動車のさらなる軽量化を促進することを目的に開設したもので、コンポジットと呼ばれる熱可塑性複合素材を使って、自動車部品をはじめとする新たなアプリケーションと試作品を顧客とともに開発する」とBASFジャパンの瀬畑一茂副社長は説明する。

また、マシュー・ストルトン執行役員は「自動車部品のほとんどをコンポジット成形品に置き換えることが可能で、その試作品を顧客に近いこの施設で生産、検証することによって、開発時間の短縮やコスト削減にもつながる」と強調した。

この施設には、連続繊維強化型熱可塑性の複合材料を加熱する赤外線ヒーターや射出成形機、材料を搬送するロボットが導入され、素材の加熱から成型、冷却・脱型までを約2分で行えるようになっている。そして、これはドイツにある施設よりもさらに進んだものだという。

このことからも、日本市場を相当重視していることがわかる。というのも、日本はアジアの中でイノベーションのハブになっている場所で、自動車部品や素材の3分の1が日本で決まっているからだ。そこで、日本の自動車メーカーや部品メーカーと密な関係を築くには、開発の初期段階から関わる必要があり、日本で相次いで施設をオープンしたわけだ。