「仕組預金はメリットがほとんどない。あまりオススメできない金融商品だと思う」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんだ。
仕組預金は為替や金利のオプション取引などデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだもの。個人向けとしては、(1)一定期間ごとに金利が見直され、満期を選択する権利を銀行が持っている「満期選択型定期預金」、(2)満期日の為替相場によって、戻ってくる元金や利子が外貨で支払われる「二重通貨預金」の2種類に大別される。
なぜ仕組預金に手を出さないほうがいいのか、満期選択型定期預金から見ていこう。S銀行の場合、初めの3年間の金利は1.3%で、その後は毎年0.1%ずつアップしていく。そして、10年目には2.0%にまで金利が上昇する。確かにこの数字だけ見ると定期預金よりも魅力ある預金のように思える。
しかし、3年目以降は1年ごとに銀行の判断で満期が延長されることに注意が必要だ。3年目にインフレが起きていて金利が2.5%になっていたら、預金者は預け直したいと考える。しかし、満期の選択権は銀行が握っている。しかも原則として中途解約は不可で、もし中途解約できても損害金が発生して元本割れする恐れがある。
そうしたカラクリについて金融商品開発に携わった経験のある永野良佑さんは「銀行側は低い金利で資金を調達できているので、満期を延長する。ところが、中途解約されたら調達コストが上がってしまうので、その分を損害金として預金者に穴埋めしてくれといっているようなもの」と解説する。
逆に3年目以降に金利が0.5%になっていたら、そのまま預けていたほうが有利である。しかし、銀行側から見ると高い金利での資金調達になるので、さっさと満期にしてしまう。結局、おいしいのは当初3年間の金利分だけなのだ。