強制ではなく誘導で脳と五感を鍛えた幼児期

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左から時計回りに、5歳から始めた空手で初段に昇段、3歳から始めたピアノでショパンを演奏、高校の卒業式(すべて14歳のとき)

ところで翔君は、グレード6の時、グレード6とグレード7のコンバインドクラス(学年混合クラス)に入ってグレード6で小学校を修了し、そこからいきなりグレード10(高校1年)に飛び級している。翔君の両親は、彼に特殊な英才教育を施してきたのだろうか。

「1歳頃からイギリスの放送局BBCが開発した『MUZZYとともだち』という英語のDVD教材や『きかんしゃトーマス』の英語版などを聴かせていました」(栄美子さん)

弁護士として仕事をしている栄美子さんのクライアントには、当時から英語がネイティブの人が3割近くいた。栄美子さん自身、読み書きはできるもののリスニングは不得意で苦労が多かったため、リスニングのトレーニングだけはなるべく早い時期からやった方がいいと考えていたそうだ。

英語のリスニング以外にも、大川家ではさまざまな早期英才教育を翔君に施している。その全貌については『ザ・ギフティッド』(大川 翔・扶桑社)をお読みいただきたいが、興味深いのは栄美子さんの考え方だ。

「脳と五感をいかに鍛えるかを考えて、ピアノは3歳から、空手は5歳から始めさせました。本の読み聞かせもよくやりましたし、夫も私も翔が保育園に通い始めた頃から一生懸命に話しかけるようにしていました。先生が連絡帳に書いてくださったことをネタに、翔がしゃべりやすいようにうまく誘導してやるのです。それも幼児語ではなく、きちんとした日本語で、です」

たとえば、「原っぱ公園で転んで怪我(けが)をしました」と書いてあれば、「今日は原っぱ公園に行ったのかな?」と誘い水をかけるといった調子。こうした細やかな配慮によって、翔君は2歳になる頃には、すでに8~9語の文章で話せるようになっていたという。

図書館や博物館、水族館や動物園にもよく出かけた。また、2歳半で知能開発教材「すくすくどんどん」、3歳からは公文の国語と算数、七田式のプリント、4歳からは漢詩や論語、百人一首の素読、小学1年生では日能研の「知の翼」、2年生からは1年前倒しでZ会の「受験コース」を受講してきた。栄美子さんは言う。

「新しいことを簡単に習得できたわけではなく、積み上げたことの上に次があるという地道な考え方でやってきました。日本のお子さんの中にもギフティッドはたくさんいると思いますよ」

強制ではなく誘導によって自然に学習させるスタイルは、カナダの教育との親和性も高かったようだ。翔君が言う。

「なにしろカナダは褒めまくり文化ですから、ちょっと何かをやっただけですごく褒めてくれる。僕はカナダに褒められて育ったと思っています。こうしてマスコミに取り上げられたりすると、日本代表としてもっともっと頑張ろうって思うんです」

横並び意識やプレッシャーとは無縁の翔君。将来の夢は、「世界の謎を解き明かすこと」だそうである。