アベノミクス、円安継続、転職増加……2015年はどんな年になるのだろうか? キャリアの専門家が新しい年の行方を見据えつつ「やるべきこと」「やめること」を提案する。
景気回復で浮足立たず、足場を固める!
昨年4月、リクルートホールディングスが新卒者に対する企業の求人倍率を発表し、売り手市場の基準とされる1.6倍を上回った。これはリーマンショック以降の最高水準であり、新卒採用に加えて、中途入社も増加している。
しかし、安易に転職を考えてはいけない。なぜかといえば、この局面の社員募集は事業拡大に伴うものが多く、ひとたび雲行きが怪しくなれば簡単にハシゴをはずされる可能性があるからだ。今は会社に留まって将来の社内での出世を目指して腕を磨き、実績を積んだほうが賢明かもしれない。
そして最近の傾向として、管理職の年齢が下がり、大企業でもアラフォーの部長が現れるようになった。しかし、今のアラフォーは自らを「厳しい受験競争や就職氷河期を乗り越えてきた世代」ととらえ、自分たちは特別だったという意識が強い。本当は2000年代前半が就職氷河期のピークだったし、40歳はもう立派なオッサン、オバサンだ。カラオケでミスチルやオザケンのアルバム曲を歌っても、若い世代は知らない。目指すべきは教養のある大人である。いい年齢なのだからネットや新書、テレビだけでわかりやすい知識を得ようとせず、岩波や中公文庫を買って古典に接しよう。
今は叱れない上司が増えており、その風潮は今後も続くだろう。しかし世の中の真理を教えるのは上の世代の役割である。若い世代に対しては、上司はあえて老害になるべきだ。「この会社では好きなことができません」と言っている若者には、「そんなの当たり前だろ。ちゃんと儲かることを企画して、会社と社会に貢献した人だけが好きなことをできる」と全力で説教すべきである。とはいえ、今はパワハラもうるさいので「おまえの言いたいこともわかるよ」と耳を傾けながら、適切に叱る必要がある。若い世代を育てるなら、積極的に声がけして説明を怠ってはいけない。もう「俺の背中を見て勝手に学べ」という時代ではないのだ。