部品メーカーとの関係の再構築

もちろんホンダとしては、この問題をタカタのものとして片付け、別の部品メーカーに鞍替えすれば、現在進めている調査リコール以上の傷は負わずにすむかもしれない。そうなると、エアバッグに限らず各分野の部品メーカー側から見れば、ホンダはいざというときに頼りにならないというイメージを与えてしまう可能性が大きい。今日の自動車開発は、完成車メーカーの技術だけで進められているわけではなく、部品メーカーからの技術提案は競争力強化になくてはならないものとなっている。その部品メーカーに対する求心力を維持できなければ、競争力は下がってしまう。

伊東社長は、昨年秋のフィット以来、続出している品質問題について徹底強化を社内に指示しているが、一方で世界販売600万台、国内販売103万台という目標を達成できないことがほぼ確実になったことから、利益を出すことが難しくなってきており、それを何とかカバーしようと開発部門を含む全社に“倹約令”を出している有り様だという。

「ホンダはハイブリッドシステムやエンジン、CVTのリコールとタカタの問題は別だと考えていますが、根っこは同じ。開発部門である本田技術研究所のプライドが高すぎて、部品メーカーと本当にいい関係を築くということをやってこなかった。今やらなければいけないのは、伊東さんの体面を保つためにタカタを切ったり益出しをしたりすることではなく、部品メーカーとの関係を再構築することなのに」(ホンダ幹部)

品質問題でブランドイメージを大きく損なってしまったホンダ。タカタ問題を今後に生かすことができるかどうか。

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