「ビジュアル化」することで記憶力は高まる
【池谷】最初に言わなくてはいけなかったのですが、「連合性」のほかにもう1つ、記憶力を高めるための方法として重要なのは「ビジュアル性」です。 ヒトの感覚体験は視覚のインパクトが強くて、脳の中のかなりの領域が、視覚になんらか関わる部分が占めている。つまりビジュアル化することで、よりイメージを具体化できるのです。
【岩波】私も、チェイン・ウィンドウには、なるべく言葉だけを書くことはしないようにしています。ちょっとした落書きでもいいから、絵を描いて。
【池谷】おっしゃるとおり、かなり重要だと思います。
【岩波】ただ、最初からいきなり絵をイメージするのは難しいので、まずは簡単なゴロ合わせから入り、最終的にはイラストや言葉がなくても、絵が頭に浮かぶというところをゴールにしています。
【池谷】岩波さんは、暗算(ゴースト暗算)にも魚のイラストを使っていますよね。いいアイデアだと思います。僕もいくつかやってみましたけど、5つくらいやったところで断念しました(笑)。
【岩波】もともとは、計算が嫌いな子がけっこう多かったので、もっと楽しくできたら、というところから始まりました。実際、2ケタ×2ケタとか、3ケタ×3ケタの計算を頭の中でやるのは難しい。それをなるべくイメージしやすくするため、魚のイラストにしたんです。 頭の中で計算する場合は、枠の中にあぶり出すように数字をイメージするのがコツ。ビジュアル化してイメージするっていうのは、チェイン記憶術も同じですね。
【池谷】小学生は計算機を使いませんから、この方法はいいですね。そういえば、アインシュタインは、難しいことこそ視覚化して、頭の中でイメージして処理していたらしいですよ。