次におすすめしたいのは『草の葉/上・中・下』(ホイットマン著)です。アメリカを代表する詩人の代表作で、そのまなざしは澄み、その言葉は香気に満ち、胸膨らむほどの勇気を与えてくれます。

私がもっとも気に入っている詩は、「青春、昼、老年、そして夜」です。

〈「青春」、大きくて、元気が良くて、愛情に溢れて――優美さと、力強さと、魅力に横溢する青春よ、君は知っているか、「老年」というやつが君たちに劣らぬ優美さと力強さと魅力をそなえて、君のあとからやってくるのを〉

ホイットマンのこの詩は、本当に人間に力を与えてくれると思います。

「ブロードウェーの華麗な行列」は、1860年に、江戸幕府がアメリカに派遣した使節団の行列を見た際に書き綴った詩です。「西の海を越えて遥か日本から渡米した」という書き出しで始まる詩には、ブロードウェーを歩く武士たちの毅然とした立ち居振る舞いや男らしさに感動したという一節があります。

まげを結い、裃を着て二本差しで歩く当時の日本人を決して奇異な目で見ていないのです。そんな豊かな感受性あふれるホイットマンの詩は、心を豊かにしてくれる。彼の詩一篇一篇は、健康な国の健全な時代を蘇らせてくれるはずです。

今回の金融危機では、様々な問題が指摘されていますが、現在のアメリカがすべて問題だというわけではありません。それはウォール街などごく一部の話で、中西部を訪れれば、人々は今でもみな親切で気品があり、ホイットマンの詩に表現されているとおりだと感じます。

私はこの地域で、高い経営理念を持ち、真面目に誠実な経営を行っている保険会社を知っています。その会社は、長期的な視点に立った経営を行っています。そして、非常に従業員を大切にしており、結果として人員削減などをしたことがないのです。保険会社というのは、人々の生涯を支えているのであり、真面目、誠実な経営でないとやっていけないのです。