「相談が予防になり子供も元気に育っていく」

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被害者は何歳が多いのか 出典:厚生労働省 
“未就学児だけではない”

改めて、中学受験に直面する親と虐待の話に戻したい。育児不安や虐待問題を抱える親からの電話相談と、親のケアを目的に、被虐待経験を訴える母親同士が語り合う自助グループの支援を続ける、社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」の広岡智子理事が、2つの事例を教えてくれた。

「息子を医学部に行かせるために、早期教育に熱心な母親が、塾のテストで悪い点をとったことに腹を立てて叩いたら、息子から『ママ、(僕のことをそんなに心配してくれて)ありがとう』と真顔で言われ、『子供にこんなことを言わせていいんでしょうか?』と相談してきたことがあります。子供から遊ぶ時間を奪って塾に行かせている負い目があるから、母親はそこで戸惑うんです」

また、医者同士の息子夫婦が、孫のテスト結果が悪いと叩いたり、自宅のベランダに閉め出したりしているが虐待じゃないかと、子供の祖父の元医師が相談してきた。

「孫を叩くのをやめるように注意したら、息子に『オマエのせいだ!』と逆ギレされてしまったようです。息子の反論から、彼も子供時代から医者になれと、祖父から強要されてきたことが推測できます」

広岡さんは、子供時代に受けた虐待を、自分の子供にも繰り返す「虐待の連鎖」の可能性を指摘する(祖父は息子に暴力を振るった記憶はない、と広岡さんに語ったという)。

「でも、相談に来る親たちの多くは、相談自体が予防になっていて、それ以上悪化しません。ほどほどの罪悪感を抱えながら子育てを続けていく。親の心配をよそに、子供も案外ちゃんと育っていきますよ」