「今年11月に北京で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、懸案だった安倍晋三首相と習近平国家主席との首脳会談が実現することが、ほぼ確実になってきました。日中関係は大幅に改善する見通しだが、一方、悪化したままの日韓関係は、首相も日本政府も“反日の朴槿恵大統領が相手では”と半ば諦めているのが実態です」(官邸スタッフ)
日中関係が改善に向けて大きく動いている。日本側の対中打開工作が奏功した。まず5月初めに超党派の「日中友好議員連盟」(会長・高村正彦自民党副総裁)の訪中団が中日友好協会会長の唐家.・元国務委員と会談。高村氏が「日本は中国を脅威と見ていない」と説明し、関係改善を訴えるとともにAPECでの日中首脳会談の開催に期待感を示すと、中国側は急遽、共産党序列三位の張徳江全人代常務委員長と高村氏の会談を設定。改善に前向きな姿勢を見せた。
これを受け、7月下旬、中国と太いパイプのある福田康夫元首相が訪中し、習主席との会談を果たした。
「経済成長の伸びが鈍化している中国にとって日本の経済、技術協力は不可欠。日本政府も、米国から中国との関係改善を繰り返し求められ、首相は8月15日の靖国参拝を自粛する一方、内閣改造に伴う自民党役員人事で、親中派の谷垣禎一氏と二階俊博氏を幹事長と総務会長に起用。中国重視を強くアピールしました」(首相側近)
9月3日、習主席は「中日関係発展への期待」を初めて公式表明。APECでの安倍・習会談がほぼ確実になった。しかし日中改善とは裏腹に、慰安婦問題などでこじれた日韓関係は改善の糸口すら見出せない。7月末に日韓議連の河村建夫幹事長が米国での講演で「来年の日韓国交正常化50周年を節目に関係を改善させたい」と発言。10月に議連メンバーが訪韓し、韓国側議連と改善を話し合う予定だが、朴大統領が対日強硬姿勢を崩さない以上、進展は期待できない。
「日韓議連の二階氏は韓国の反日ぶりに嫌気がさし、今は完全に中国にシフト。官邸も“日中改善に焦った韓国が日本に接近してくるかも”と様子見状態です」(前出の官邸スタッフ)