中国の格安航空会社である春秋航空が打ち出した、上海-茨城間片道4000円は衝撃的だった。同社は日中両国の許可があればこの秋にも定期便を就航させたいとしており、成り行きが注目される。ところで、こうした激安値が登場するのは、2008年から日本発の航空運賃が自由化され、下限が撤廃されたからだ。
航空・旅行ジャーナリストの緒方信一郎氏は、「格安航空券は、発売元により3つに分けられる」という。春秋航空のようなLCC(ローコストキャリア)と呼ばれる会社のもの、大手航空会社の正規割引、そして旅行代理店が売っている海外航空券である。予約は代理店が運営するポータルサイトや各航空会社のホームページで行う。その際、手配手数料はゼロとなっており、このことも安さの理由になっている。
どんな路線が安いのか。緒方氏は「関西国際空港発のアジアが狙い目。いずれもLCCだが、エアプサンの韓国(釜山)行きが往復1万3900円。ジェットスターアジア航空の台湾(台北)行きが同1万2000円。これは、関空が着陸料をタダにすることで実現した」と話す。
いまのところ関空がメーンだが、緒方氏は、この10月に羽田空港で4本目の滑走路が供用開始されることで、料金格安化の動きは首都圏にも波及してくると予測する。というのは、羽田に国際定期便が就航すると、発着枠の空きが増える成田にLCCが乗り入れると予想されるからだ。すでに成田では、専用ターミナルを新設することも明らかになっており、しばらくは目が離せない。
(ライヴ・アート=図版作成)