マイナーだが企業の評価が高い資格

2位以下も、中小企業診断士や社労士など、以前から支持されている難易度の高い資格が目白押しでした。ただし、次のような指摘はあります。

「中小企業診断士も社労士も、会社の中では役に立たない。取っても使いようが少なく、損な資格だ。名前がカッコイイせいか、自己啓発として取得を目指す社員が多く、受験費用の一部を負担するなど支援はしている。だが、本音としては難関資格に挑戦するエネルギーがあるなら、仕事に向けて欲しい。仕事ができない人、中身がない人ほど、この二つの資格を取りたがる」(人事部勤務の経験がある大手企業幹部)

ところで、今回興味深かったのは、「支援する資格」を選択肢以外に記入する企業が多かったことです。

それらの資格は、建設会社の建築士のような「業務独占型」の資格だけではなく、現状はそれほど知名度が高くないけれど、各社が「使える」と判断しているもの。近い将来、その資格を持っていることで自分の評価が高まる可能性もありそうです。

例えば、丸紅の回答はこうです。

「ITストラテジスト、ファイナンシャルプランニング技能士、内部監査士、公認内部監査人、公認情報システム監査人」

大和ハウス工業は、

「建築士(1級、2級)、建築施工管理技士(1級、2級)など」

三井住友海上火災保険は、

「損害保険代理店資格、証券外務員資格など」

同社担当者によれば、「業務と関連性の高い資格であれば、修了報告または事前申請を条件に費用補助をしている」とのことだった。

帝人も「所属長が承認すれば、すべての公的資格人対する支援を認めている」。

キリンも「『自己啓発支援制度』によって、資格取得に向けた学びの費用の一部をサポートしている。資格の種類については、取得後に業務に生かせて、リーダーが認めたものとする」

との回答で、たとえマイナー資格でも支援されるケースが少なくないようです。

ほかにも、このような資格に支援する会社が実在する。

住宅メーカー:建築士、各種施工管理技士など。
自動車メーカー:電気工事士など。
流通業:中国語検定、インドネシア語技能検定。
電機メーカー:DCプランナー(企業年金総合プランナー)。
銀行:不動産鑑定士、アクチュアリー、米国弁護士、CFA協会認定証券アナリストなど。
電子部品メーカー:QC検定(品質管理検定)。
カードなど金融業:貸金業務取扱主任者。
電機メーカー:電気工事士2種、冷凍機会責任者。
自動車部品メーカー:トータルで307資格に奨励金支給。
銀行:アクチュアリーなど。
生保:アクチュアリー。
自動車メーカー:通関士、販売士。
電機メーカー:米国税理士、PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)、ITコーディネータ、博士号、電気主任技術者、PE(プロフェッショナル・エンジニア)、1級建築士など。
ホテル:「ホテル運営に必要な資格」。
不動産:マンション管理士。
<第2回の結論>
・会社が取得を支援する対象資格で最も多いのは、TOEICである。会社のグローバル展開と相まって、後に登場するが昇格要件にTOEICを使う会社もあるためだろう。
・保険会社のアクチュアリー、金融業界の銀行業務検定など業界資格を支援する傾向は強い。
・建設・不動産業界の建築士、宅建など「業務独占資格」への支援は当たり前。
・社会保険労務士、中小企業診断士、税理士など、いわゆる“士”資格への支援は多い。

【アンケートにご協力・ご回答いただいた企業(順不同)】丸紅/帝人/大和ハウス工業/三菱東京UFJ銀行/ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社/ミツバ/三井住友海上火災/キリン/パナソニック/オリックス/双日/富士ゼロックス/三菱重工業/サイバーエージェント/積水ハウス/トヨタ自動車/ブリヂストン/NEC/カルビー/ぐるなび/アサヒグループホールディングス/ユニ・チャーム/ローソン/住友電気工業/新栄不動産ビジネス/三井住友銀行/川崎重工業/キヤノン電子/ニトリホールディングス/クレディセゾン/クラシエホールディングス/ダイキン工業/デンソー/マツダ/サントリーホールディングス/ヤマトホールディングス/京セラ/京王プラザホテル/みずほフィナンシャルグループ/このほか、食品、生保、精密、鉄道、ホテルチェーン、化学、電機、不動産、機械など15社。合計54社。

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