オリックスを30年余り率いてきた宮内氏が6月に退任。「体が続く限りやる」と言っていたカリスマ経営者が、バトンタッチを決意した本当の理由を、これまでの仕事人生を振り返りながら語ってくれた。(※退任前にインタビュー実施)
オリックス元会長兼CEO 宮内義彦氏

2014年6月の株主総会で、取締役を退任します。オリックスが創立して50周年。意図したわけではありませんが、ちょうどいいタイミングです。

60代の頃から、70歳までに後任に引き継ぎたいと漠然と考えてきました。年齢で決めるのはおかしな話ですが、世間の常識からいうと、そのあたりが目途だろうと。

実は、その後も考えは揺れていました。元気だから引退せずにとことんやろうと考えた時期もあります。見てのとおり、体はとても元気です。しかし、この年になると、明日何が起きるのかわかりません。そういうことを考えたときに、ぎりぎりまでやったほうが会社のためになるのか、逆に会社に迷惑をかけることになるのか。蓋を開けてみないと結果はわかりませんが、おそらく突然いなくなったほうが、会社にとってリスクは大きい。そう考えて、このたびの結論に至ったわけです。

60代でバトンタッチを考え始めて、結局ここまで時間がかかってしまった理由は2つあります。1つは、人がすぐには育たなかったという社内事情。もう1つは、リーマンショックです。08年のリーマンショックから12年くらいまでは後継のことを考える余裕もなかったし、一番しんどいときに「おまえ、やれ」と言われたら後任はたまらんでしょう。新しい人に引き継ぐのは、落ち着いてからでいい。幸い、前期の決算は悪くなく、今期は最高益の計画を立てています。そういう意味では、新しい人にバトンを渡す環境がようやく整ったといえます。

CEOを交代する時期については、3つの選択肢がありました。今年の株主総会か、年末か、来年の株主総会です。50周年の絡みもあっていろいろと考えましたが、そのうち面倒くさくなってきましてね。もう決めたことだから一番早いのにしようということで、このタイミングになりました。