世間のことがある程度わかった大人になってから、受験科目を見直してみると、なかなか知的好奇心をくすぐるものがある。もはやテストの心配もない。「大人の教養」を楽しんで身につけてみませんか?

人物、時代、地域をリンクさせて考える

代々木ゼミナール講師 祝田秀全 
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所を経て代ゼミ世界史講師に。『忘れてしまった高校の世界史を復習する本』など著者多数。

試験の世界史がつまらないのは「暗記科目」という思い込みがあるからでしょう。起こった出来事や人物名、その年号などを詰め込む。これでは興味が湧くわけがありません。

教える側も古代から始まって、中世、近世と区切ったり、中国なら中国と国別に歴史を語る傾向があります。しかし、歴史は時間的にも空間的にもつながりがあります。すべてはリンクしているのです。歴史上の出来事は何が発端となり、人物や国がどう関与したか、その思惑や時代の流れとともに捉えるものです。

そんな見方ができる大人になると世界史は俄然面白くなります。拙著で恐縮ですが『歴史が面白くなる東大のディープな世界史』。東京大学の入試に出た問題を提示し、解答例と解説を加えた本です。おそらく読まれた方はレベルの高さに「これが入試問題?」と驚かれるはずです。一例をあげてみましょう。

「19世紀中ごろから20世紀50年代までのパクス・ブリタニカの展開と衰退の歴史について、次に示した語句を一度は用いて450字以内で述べよ。語句=自由貿易、南京条約、 アラービー・パシャ、3C政策 、マハトマ・ガンディー、宥和政策 、マーシャル・プラン、スエズ運河国有化」

これは暗記では決して解けません。世界史の流れを把握したうえ政治や経済などの幅広い知識も身につけておくことが必要です。東大はこのレベルを受験生に要求する。難解ではありますが、深く踏み込めば踏み込むほど面白くなるのが世界史。グローバル化する社会を相手のビジネスマンにとって世界史は欠かせない教養でもあるはずです。