◎新しい販路を開拓したら

今の消費者を分析し、ターゲットは「20~30代の自分磨きに価値を見出している働く未婚女性」に絞った。彼女たちは、自分らしさを重視し、自分磨きへの投資を惜しまない。また周囲への影響力も強い。そんな彼女たちの「自分らしく無理せず健康的な美を手に入れたい」というニーズに着目し、板かまぼこを「健康的な美を保持するための、食生活に日常的に取り入れてもらう製品」というコンセプトで売り出すことを提案したい。

これらの販路および情報発信の場として、「自分磨き」の場である料理教室やスポーツジムなどが有力と考える。このような場所で指導者が「かまぼこは健康や美容によい」という情報を強力に発信し、そこで販売することで、より深い浸透が可能になるのではないか。

◎切り札はラテラル・マーケティング

すでに手詰まり感のある伝統製品の市場。これを攻略する切り札は「ラテラル・マーケティング」である。この思考は従来の「細分化」「集中化」から離れ、ニーズ、ターゲット、マーケティング・ミックス等を水平レベルに変化させるものである。フィリップ・コトラーらにより提唱されたこの手法を用いることによって、例えば(1)製品・ターゲットの変更(子供をターゲットに魚肉ソーセージのような「おやつ」にする)、(2)パッケージの変更(運動しながら食べられるようにガムやチョコのようなパッケージにする)、(3)付属品の逆転(付随している板の裏にジグソーの一部を彫り込み、全部揃えると大きな絵になる)、(4)イベントとの結合(食べて美を競う「かまぼこ肌」コンテストを実施する)、(5)専用チャネルの強調(かまぼこを美味しく食べられる「かまぼこバー」をつくる)などが即座に浮かぶ。

柔軟な思考で各マーケティング・プロセスを水平的に「転がして」いけば、そこには無限の沃野が広がっていることに気づくことだろう。

(撮影=小倉和徳)