ユニークな若手が集まって新商品を開発

トリシティはこのようにヤマハ発動機が大きな期待を寄せているバイクだが、その開発は試行錯誤の連続だったという。まず新しいコミュニティをつくろうということで若手を募集。その中から3輪バイクを開発するためのメンバーを6人ほど三輪邦彦上席執行役員が選んだ。

「3輪だから、『おまえが担当しろ』と言われたんです。それで、2輪の常識にとらわれないように、できるだけいろいろな部署から開発者を集めました。例えば、ロボットをやっていた人間やモトGPをやっていた人間など、開発陣はこれまでにないほどユニークなものにしました」

そして、2011年にプロジェクトがスタート。しかし、思うようにいかず、最初のデザインはとても見られたものではなかったという。そこで、同年中途入社したデザイナー、野口浩稔氏が参加。何度もフロント部分を手直しし、今の形にした。

「前2輪だとどうしてもフロントが重たく見えるので、それを軽く見せるようにするのに苦労しました」と野口氏は話し、風に流れるリボンをイメージしてデザインしたそうだ。

苦労の末、誕生したトリシティはヤマハ発動機が第3の移動体と位置づけているLMW(リーニング・マルチ・ホイール)の第1弾で、2017年までに3~4機種にまで拡大する方針だ。「これからお客様の声を聞きながら、方向性を決めていこうと考えており、この3輪バイクがどういう形で発展していくか楽しみ」と三輪上席執行役員。

ヤマハ発動機はこれまで女性向けスクーター「パッソル」や電動アシスト自転車「PAS」など独自性のある商品で新しい市場をつくってきたが、今回の3輪バイクでもそれを狙っている。

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