たとえばストレスを感じたり緊張したりすると、白血球の中の顆粒球やリンパ球の割合が変動します。これは交感神経と副交感神経からなる「自律神経」の働きによるものです。健康な人の白血球はマクロファージ5%、顆粒球54~60%、リンパ球35~41%ですが、交感神経が優位になりすぎると顆粒球が増え、副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が増えてしまいます。こうなると、あまり体によくありません。

自律神経には、昼間の活動時間帯に優位になる「交感神経」と、夜、休むとき優位になる「副交感神経」があります。原始時代、野山を駆け回っていた頃の人間は、昼間は命にかかわるようなケガをする確率も高かったはずです。ということは、昼間は素早く細菌やウイルスを食べてくれる顆粒球の出番が多い。そのため昼間は交感神経優位で顆粒球が増えるようになりました。一方、日没後はほとんど活動しないので、食事でとった栄養を吸収しやすくなるよう胃腸の働きを促進し、くつろいだ気分になる副交感神経優位に自然と切り替わります。このときはケガに備えるよりも、食べ物と一緒に入ってくるウイルスのほうが問題なので、ウイルスに強いリンパ球が増えるようになっています。

問題は私たち現代人の生活が、交感神経優位になりがちなことです。たとえば夜遅くまで煌々と電気をつけて、テレビやインターネットなどの刺激を受け続けるのは、常に興奮状態だということ。交感神経優位の状態が長すぎて、顆粒球が増えてしまうのです。

増えすぎた顆粒球は自分の体を攻撃し、組織破壊を起こします。また顆粒球は死ぬとき有害な活性酸素を出すため、がんや胃潰瘍、糖尿病などの病気が引き起こされてしまうというわけです。

それでは副交感神経が優位なら安心かというと、答えはノーです。リンパ球が増えすぎるとアレルギー疾患になりやすくなるほか、血管が開きすぎて低体温になった結果、がんになることもあります。

いちばん望ましいのは顆粒球もリンパ球も増えすぎず、自律神経のバランスのとれた生活を送ること。そのためには自分の性格を知り、「生き方の偏り」を見直すことが欠かせません。