住宅ローン控除は今年まで。重くなる税負担に還付申告で対抗しよう

毎月の源泉徴収と年末調整で納税が終了するサラリーマンには税金に関心がない人が多いだろう。しかし、特別減税が廃止され税負担が高まっている今、もっと敏感になって払いすぎの税金は還付申告でしっかり取り戻したい。たとえ戻ってくる所得税額は少なくても、今年支払う住民税も安くなる効果があるからだ。

サラリーマンの還付申告の仕組み
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サラリーマンの還付申告の仕組み

サラリーマンの税金が戻ってくるのは、まず医療費控除や雑損控除のように、年末調整で申告しない所得控除がある場合。また、年末に子供が生まれたときのように、年末調整後に扶養家族が増えたときも申告すれば税金が戻る。これらの所得控除を申告すると、図のように所得控除に対応する部分の税金が戻ってくる。年の途中で退職して年末調整を受けていない人も申告すれば税金が戻ることが多い。

所得控除の申告で見落としがちなポイントをいくつか紹介しよう。

まず、最も身近な医療費控除。医療費が10万円を超えたら申告できる。保険の利かない歯の治療は申告できないと思いがちだが、義歯や金歯、インプラント治療なども対象になる。通院に使った交通費も、明細書を添付すれば認められる。緊急時に利用したタクシー代もOKだ。薬局で買ったカゼ薬や胃腸薬なども治療のためのものなら認められる。「生計を1つ」にしている家族の医療費はまとめて申告できるので、家族みんなの領収書を集めよう。家族の中で税率が高い人が申告したほうが多く戻ってくる。

災害にあった場合に申告する雑損控除は、空き巣やスリの被害も対象になる。事実関係を証明する書類も添付する。

母校など学校法人や福祉法人、公益法人に寄付した場合には寄付金控除が受けられる場合がある。対象となる寄付については領収書など必要書類がもらえるはずだ。原則として寄付金の合計額から5000円を引いた額が控除額となる。

このほか、税金の対象となる所得を減らすのではなく、税額そのものを減らせる「税額控除」もある。戻る税額が多いためインパクトが大きい。住宅ローン控除や配当控除、政党等寄付金特別控除などがそれで、政策的な意味を持つものが多いようだ。住宅ローン控除は2009年以降、廃止の見込み。リフォームも対象になるから、利用したい人は急ごう。

還付申告について詳しく調べるには、国税庁のホームページが便利だ。

(構成=有山典子)