経歴や肩書の見方が大きく変わります

では、高くなった面接へのハードルを越えた後、面接試験では何を評価されるのか。

「面接で評価される人材像は、以前と変わりません。しかし、評価の仕方が大きく変わります。成果や実績などの具体性重視です」(森氏)

これまでの抽象的な“人柄”採用への反省から、多くの企業で客観的に見える能力や努力を見ようとする傾向に移行しつつあるそうだ。

「たとえば、人事部が昔から信頼しているカードとして、『体育会』があります。体育会でスポーツに打ち込んできた学生には、厳しい練習に耐え抜くタフな『精神力』があり、チームワークで鍛えられた『協調性』や、縦社会にすばやく馴染む『社交性』など、職種でいえば営業向きの特徴があります。総合商社や証券会社は、体育会のラグビー部やアメフト部出身者が多い。しかし、体育会の強みは仕事上で役立つだけではありません。その努力の過程が伝わりやすい、イメージしやすい点が圧倒的に有利なのです。学生時代に打ち込む活動には、サークル、学業など多様な方向性があるでしょう。趣味やサークルでも先に挙げたような『精神力』や『協調性』といった能力は身に付きますが、“体育会にいた”という事実は、面接官に特に伝わりやすい。こうした努力のプロセスが客観的に見えやすいことが今後は面接で、より強みになります」(森氏)

しかし、最終段階では、やはり企業との相性ということになるらしい。

「たとえば、銀行などの金融系は、お客さまからの信用が何よりも大事です。そのため、取り組みに誠実さが感じられる、いわゆる『真面目な優等生タイプ』を好みます。これと似ているのがインフラ系。企業規模が大きく、転勤が多いこともあり、“どこへ行っても環境や周囲の人に合わせられる”調和型のタイプが求められる。それに対して、大手のマスコミや広告系では、クリエーティブな仕事も多いため、個性的で少しキャラの立った『面白い子』を採用する傾向にあります」(森氏)

企業との相性を考えるうえで、就活生やその親が見落としがちなのが、企業の規模や好況・不況によって採用の方向性が変わることだという。

「大企業の場合、5年後、10年後に活躍する『可能性のある学生』を探していますし、規模が小さくなるほど『即戦力になる学生』が求められ、能力の有無が重要になる」(小寺氏)