あたりがついたら、次は職務経歴書を作成する。使いまわしの職務経歴書は厳禁。ベースは同じでいいが、先方のニーズに合わせたカスタマイズが必要だ。

「相手のニーズに対して発揮できる自分の強みを考えて、その裏付けとなる経歴を強調した職務経歴書をつくります。これまでやってきたことをズラズラと並べて書くのはダメ。ニーズに合う部分は詳しく、そうでない部分は簡潔に書く。経験を強調するときに遠慮は不要。実際はプロジェクトを『手伝った』程度でも、『携わった』と書くくらいの押しの強さが欲しいところです」(谷所氏)

会うところまで漕ぎつけたら、後は柔軟に対応したい。話を聞くうちに相手のニーズが別のところにあったり、逆に自分では軽視していたスキルや経験に相手が注目するケースがある。その場合は事前の想定にとらわれず、臨機応変に進めていく。肝心の年収交渉について、谷所氏は「最後に交渉すべき」と指南する。

「年収交渉の前に、『この人が欲しい』と思わせることが大切。それ抜きに要求を押し出すと、転職自体がポシャってしまうリスクがあります。まずは相思相愛の状態に持っていき、その後で『生活があるので、前職以上の額をいただきたい』と伝えたほうが無難です」(谷所氏)

35歳以上は中小へのコネ転職を目指せ!

これまで見てきたのは転職の正攻法だが、転職で年収を上げる方法はほかにもある。コネを使った中小企業への転職だ。

「大手企業はたいてい給与規定が決まっていて、優秀な転職者もその中に組み込まれます。そのため先方のニーズにうまく合致した転職でも、給料が極端に増えるケースは考えにくい。一方、中小企業は大手ほど給料規定が細かくなく、社長や取締役の一存で転職者の給料が決まることが少なくない。経営層と人脈があれば、正攻法で応募するよりコネ転職のほうが年収を増やしやすいです」(谷所氏)

コネ転職は、経験を積んで業界内での顔も広くなってきた35歳以上の人向き。正攻法の門戸の狭さを考えれば、試す価値はあるだろう。いずれにしても、年齢を理由に転職を諦める必要はない。やり方しだいで、年収増は十分に可能だ。