圧倒的な強みは「配達員の密度」
ちなみに後述するようにこの戦略に対して出前館、ロケットナウが価格を大幅に下げる戦略で挑戦するのですが、それでもUber Eatsが難攻不落をほこる理由が配達員の密度です。
Uberは圧倒的に注文数が多く、その結果、ギグワーカーの配達員がたくさん集まり、結果として配達時間が短く顧客満足度が高くなりリピート注文が増える構造にあります。安くても配達に時間がかかる競合は、評判を落として撤退に追い込まれるというのがこれまでの戦いの構図でした。
【2】出前館のビジネスモデル
創業時の出前館は、ピザ・弁当など自前配達を持つ大手チェーンを中心に、国内最大級の出前ポータルを運営していました。当時は配達の担い手は出前館ではなく加盟店でした。
ところがUber Eatsの日本市場参入をうけて2016年から出前館も自前の配送網構築を模索します。最初は新聞社との業務提携で新聞配達の空き時間を活用する方法を実験し、翌年には地域の配達事業者を活用した配達網を利用します。出前館のロゴをあしらった赤いバイクが活躍していたのは主にこの時期です。
結局、ギグワーカーを用いた配達網のほうがビジネスモデルとして優れていたことから2020年のコロナ禍以降、出前館もギグワーカーに舵をきります。しかしビジネスモデルがUber Eatsと同質化された状態ではシェア拡大は難しく、業界2位として苦しい状況に追い込まれます。
生き残りをかけた2つの戦略
フードデリバリー市場は戦国時代で競合のWoltとmenuが撤退に追い込まれます。
赤字が続く出前館は生き残りをかけた新戦略が必要です。そこで2025年頃から本格的に力をいれるようになったのが「お店価格で出前館」という戦略です。このお店価格の加盟店は直近では約2万5000店舗まで拡大しました。
さらに2026年3月から送料無料を開始します。つまり有力加盟店において商品代金はお店と同じ、送料は無料で、サービス料だけが上乗せされるという料金体系に踏み切ったのです。
この戦略を説明するのには、コンビニとスーパーのたとえでお話しするのがわかりやすいでしょう。私たちはコンビニが高いことは知っていますが、それでもコンビニを使う理由は忙しい日常の中で便利だと思うタイミングが多々あるからです。
お店でランチする時間がとれないからコンビニ弁当を買って職場で5分ですませるとか、仕事で移動中にペットボトル飲料を買うとか、帰宅が深夜になったとき自宅への帰り道に空いているからコンビニに寄るとか、子育てで目が離せないから最寄りのコンビニでちゃちゃっと必要なものを買う。そんなシーンで高いコンビニを使います。
その同じ消費者も、週末時間があるときには、スーパーに出かけて一週間の生活に必要な食材を買います。その方が安いですよね。スーパーは日常遣い、コンビニは便利遣いと消費者は使い分けているのです。

