AIに任せてはいけない仕事とは

AIにそのまま任せるべきではない仕事の代表が、最終判断です。取引先との契約条件を受け入れるかどうか、採用候補者を合格にするかどうか、顧客からのクレームにどの条件で回答するか、社内の方針として何を決定するかといった判断は、AIが決めるものではありません。

赤井 誠、田口 和裕『Claude Cowork × Microsoft 365 Copilot Cowork実践ガイド』(日経BP)
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人事評価や法的判断、顧客への重要回答も同じです。面談メモを整理したり、契約書の確認ポイントを抜き出したりすることはできますが、評価そのものや法的な可否、返金や納期変更の回答を、AIに確定させるべきではありません。

また、誰に先に相談するか、どこまで共有するかといった、文書に書かれていない背景が関わる判断も、人間が状況を見て担う必要があります。

AIに任せてはいけない仕事があるからといって、その業務全体でAIを使えないわけではありません。

人事評価でも、評価そのものは人間が行いますが、面談メモや目標シートから、評価観点ごとの事実を抜き出すことはできます。顧客対応でも、返信をそのまま送らせるのではなく、相手の要望、回答が必要な点、未確認の条件、社内確認が必要な項目を整理させる使い方であれば、実務に取り入れやすくなります。

そのまま任せるべきではない仕事
最終判断
人事評価
法的判断
顧客への重要な回答
社内政治や関係調整

AIに任せられる周辺作業
判断材料の整理、選択肢の比較、未確認事項の抽出
面談メモの整理、評価観点ごとの事実の抽出、確認項目の一覧化
条項の要約、論点整理、専門家に確認すべき点の抽出
相手の要望整理、返信案の下書き、リスク表現の確認
関係者ごとの主張整理、対立点の抽出、説明資料の下書き

難しい顧客の依頼も、判断の前準備は任せられる

例えば、顧客から契約条件の変更を求められた場合、AIに「受けるべきかどうか」を決めさせるのは適切ではありません。しかし、顧客の要望、変更が必要な項目、社内確認が必要な点、返信前に決めるべきことを整理させることはできます。

【指示例】
次の顧客からの依頼について、AIに判断させるべきではない点と、AIに整理させてもよい点を分けてください。
返信文はまだ作らず、顧客の要望、確認が必要な条件、社内で判断すべき点、未確認の情報を整理してください。
資料に書かれていない事情は推測せず、「未確認」としてください。

依頼内容:
顧客から、現在進行中のウェブサイト制作案件について、当初の契約には含まれていない追加ページの制作と、公開予定日の前倒しを依頼されています。
顧客は「予算は大きく増やせないが、できる範囲で対応してほしい」と書いています。
社内では、担当デザイナーの稼働が既に埋まっており、外部パートナーに依頼する場合は追加費用が発生します。
営業担当は、今後の継続取引を考えると前向きに対応したいと考えていますが、制作チームは現行スケジュールへの影響を懸念しています。

整理してほしい項目:
・顧客の要望
・AIに判断させるべきではない点
・AIに整理させてもよい点
・社内確認が必要な点
・返信前に人間が決めるべき点

この例では、どこまで対応するか、追加費用を請求するか、納期を変更するか、顧客にどのように伝えるかは、人間が決定する必要があります。判断を人間が持ち、整理や下書きをAIに任せるという分担を前提にすれば、定型業務の半自動化は実務の中で使いやすくなります。

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