「重要なのは、とん蝶に使う塩昆布に負けず、味が調和する素材であること。実は以前、『たけのことん蝶』を作ろうとしたのですが、たけのこにうまく味付けができなくてボツになりました。今はなかなか手が回っていませんが、いずれ再チャレンジしてみたいですね」

再現性が高いデザインの「巾着とん蝶(「とうもろこしとん蝶」入り)」(1518円)。とん蝶1個がすっぽり入る
筆者撮影
再現性が高いデザインの「巾着とん蝶(「とうもろこしとん蝶」入り)」(1518円)。とん蝶1個がすっぽり入る

蒸籠ひとつで「とん蝶」40個分を蒸す

取材を終えると、本社内のとん蝶コーナーが空になっていた。まだ、平日のお昼前だというのに完売するとは驚きだ。

追加で作ると聞いて、取材に同席していた総務部長の中原さんに工場を案内してもらいながら、製造工程を見学した。

前日に水に浸したもち米に、炊いて皮をむいた大豆を混ぜて、毎朝5時から蒸し始める
筆者撮影
前日に水に浸したもち米に、炊いて皮をむいた大豆を混ぜて、毎朝5時から蒸し始める

ちょうど蒸しあがったばかりの蒸籠から、熱々の湯気が出ている。大人が抱えるほど大きな蒸籠ひとつで、とん蝶40個分。季節や天候によって、おこわを蒸すときの打ち水のタイミングと回数を変えており、そこは職人の勘と経験が頼りだそう。

次に、おこわを作業台に広げて、専用の型に詰める。まんべんなく塩昆布をまぶし、その上に、またおこわを隙間なくかぶせて型を抜くと、お馴染みの三角形の出来上がり。

とん蝶専用に造った型におこわを詰める
筆者撮影
とん蝶専用に造った型におこわを詰める
おこわとおこわの間に、塩昆布を挟んで型を抜く
筆者撮影
おこわとおこわの間に、塩昆布を挟んで型を抜く
出来たてほやほやの三角のおこわ
筆者撮影
出来たてほやほやの三角のおこわ

つづいて、包装紙の裏面に載せて小梅を2つ真ん中に置き、ふんわりと包んでトレイに並べていく。1個につきほんの数秒。まばたきしたら、見逃してしまいそうなほど速い。

入社3年の製造スタッフが、目分量だけで1個分のグラム数に仕上げていて目を見張る。丁寧かつ迅速な手仕事に、しばらく見惚れてしまった。包装が終わると、トレイごと真空冷却器に入れる。食品衛生上の理由で、熱々のおこわを中心部まで冷ます。最後にラベルをワイヤータイで括り付けて完成だ。