「重要なのは、とん蝶に使う塩昆布に負けず、味が調和する素材であること。実は以前、『たけのことん蝶』を作ろうとしたのですが、たけのこにうまく味付けができなくてボツになりました。今はなかなか手が回っていませんが、いずれ再チャレンジしてみたいですね」
蒸籠ひとつで「とん蝶」40個分を蒸す
取材を終えると、本社内のとん蝶コーナーが空になっていた。まだ、平日のお昼前だというのに完売するとは驚きだ。
追加で作ると聞いて、取材に同席していた総務部長の中原さんに工場を案内してもらいながら、製造工程を見学した。
ちょうど蒸しあがったばかりの蒸籠から、熱々の湯気が出ている。大人が抱えるほど大きな蒸籠ひとつで、とん蝶40個分。季節や天候によって、おこわを蒸すときの打ち水のタイミングと回数を変えており、そこは職人の勘と経験が頼りだそう。
次に、おこわを作業台に広げて、専用の型に詰める。まんべんなく塩昆布をまぶし、その上に、またおこわを隙間なくかぶせて型を抜くと、お馴染みの三角形の出来上がり。
つづいて、包装紙の裏面に載せて小梅を2つ真ん中に置き、ふんわりと包んでトレイに並べていく。1個につきほんの数秒。まばたきしたら、見逃してしまいそうなほど速い。
入社3年の製造スタッフが、目分量だけで1個分のグラム数に仕上げていて目を見張る。丁寧かつ迅速な手仕事に、しばらく見惚れてしまった。包装が終わると、トレイごと真空冷却器に入れる。食品衛生上の理由で、熱々のおこわを中心部まで冷ます。最後にラベルをワイヤータイで括り付けて完成だ。





