コンサルの「本質的な価値」とは
そうして本当の「問い」に答えられる材料を揃え、経営層が議論した結果、市場への参入は「No GO」になりました。
これは、新たな消費者金融サービスの意義は確認できたものの、収益を維持するためにある一線を越えたところで一気に引き上げる手法や、与信管理の仕組みなどビジネスモデルの適合性や銀行全体でのリスクを議論した結果でした。
皮肉なことに、最初の問いと立てられた仮説だけを見ていれば、「GO」すべき案件だったと思います。数字上は、十分に魅力的だったからです。けれど、本質的に答えるべき最初の問いが変わったことで、答えが変わった。
この経験は、私にとって決定的な転換点でした。
それまで私は、「仮説を早く立てること」、そして「その仮説に則ってスピーディな意思決定を後押しすること」こそが、コンサルタントの価値だと信じていました。けれど、本当に付加価値が生まれるのは、そこではなかった。
何について答えを出せば、正しい判断ができるのか。
つまり解くべき「問い」とは何か、が重要であって、それをクライアントと一緒に見つけ出していくプロセスこそが、コンサルタントの本質的な価値なのです。
正しい問いが立たなければ、仮説を立てても意味はない。
むしろ、間違った問いに対して仮説を立てて進むことは、誤った意思決定を導くリスクすらあるのです。
このプロジェクトを契機に、私は「自分の土俵に引き込んで勝つ」やり方をやめました。
相手が、いま何に頭を巡らせているのか、懸念しているのか。
どこで立ち止まっていて、どこから紐解かないと先に進まないのか、進めてはいけないのか。
その土俵を見極め、そこで問いを立てる。問いをどの順番で持っていくかがいかに重要か、はじめてわかりました。
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