目的ある借金と、返済のための借金

調査を進める中で、はっきりしてきたことは、「目的のためにお金を借りる人」と、「お金のためにお金を借りる人」では、提供すべき価値が本質的にまったく異なるという事実でした。

たとえば、結婚式の費用や飲み会などの急な出費、買い物や交際の機会があって、一時的な資金不足を埋めるために借りるお金があります。これは、生活の中の一時的なズレを埋めるために、給料日前に少額を必要とする人たちのお金です。

一方で、慢性的に足りない資金を補うために借り続けるお金もある。それは、返済のために借り続け、多重債務に陥っていく可能性のある人たちのためのお金です。

この二つは、同じ「消費者金融」という枠にありながら、まったく異なる性質を持っていました。同じ「ローン」という言葉で括られていても、動機も、行動も、事業リスクも、まったく別です。

さらに言えば、当時の大手消費者金融は、消費者の借入状況などに関するデータベースを共有し、過剰な貸し出しを抑制する仕組みを持っていました。

(注:当時は消費者金融企業を中心とした「全国信用情報センター連合会(全情連)」と呼ばれる仕組みがありました。現在に比べ、様々な金融機関が横断的に参照できる環境ではありませんでした)

「どう勝つか」より先に問うべきこと

ここで、問いが定まりました。

解くべき正しい問いは、「高成長で魅力的な消費者金融市場で、どう勝つのか」ではなかったということです。

「そもそも大手消費者金融が作り上げている市場はどういう市場なのか、そしてなぜ彼らはその市場を作り上げられたのか。それはクライアントがやるべき事業なのか」でした。

「勝てるかどうか」「どう勝つか」は、「やるべきか」という問いに対する答えが出てから立てるべき問いの話だったのです。

これらの結果を伝えると、クライアントはこう言いました。

「こういうことが知りたかったんだよ」

いま振り返ると、このプロジェクトで起きていたのは、「問いの更新」でした。その市場の成長が、どのようなニーズによって支えられているのか。

それこそが、本当に問われていた「セントラルクエッション」だったのです。