不妊治療の受診から妊娠まで平均5~6年
とりだい病院ではしばらく不妊に精通した看護師が不在だった。松本に寄せられる期待は大きい。
「意識したいのは、スタッフと情報共有すること。実は先日初めて不妊治療のカンファレンスに出ました。不妊カウンセラーが橋渡し役になってカンファレンスの内容を共有すれば、みんなで患者さんを支えられる。そんな環境をつくりたいです」
高度生殖医療センターという器はできた。そしてその中身となる人材もそろいつつある。しかし、センター長の谷口は、まだまだ足りないと言う。
「例えば顕微授精は針の先に糸を通すような手先の器用さを求められ、私より胚培養士のほうがずっと得意です。ただ、都会には十数人の胚培養士を抱える施設がある一方、とりだい病院は現状で一人だけ。その他にもまだ不足気味の職種も多い。早く充実させたいですね」
そして患者への啓蒙も必要だと考えている。
不妊治療を受け始めてから妊娠するまで平均5~6年もかかっているというデータがある。一般的な治療から始めて、次に成功率の低い人工授精、それからやっとARTというようにステップを踏むケースが多いからだ。ただ、5~6年の間に妊孕能が低下して途中で治療をあきらめてしまう患者は少なくない。
谷口は子どもを望むカップルに向けて、こうアドバイスをしてくれた。
「重要なのは、妊娠しにくいかなと思ったら、できるだけ早く専門の医療施設で受診すること、そして結果が出なければすぐ早く次のステップに進むことです。とりだい病院はセンター化で、さまざまな患者さんに寄り添って対応できる体制ができました。これからさらに受診しやすい体制をつくっていきます。ぜひ気軽にご相談いただきたいですね」
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