4年で売上高30%、純利益270%増。4期連続で最高益更新と好調の理由は――。
スナック菓子最大手の快進撃が続いている。業績はもとより2011年上場から、株の動きも好調。すべては09年のトップ交代による構造改革から始まった。
ポテトチップスは「野菜の素揚げ」である
カルビー新宇都宮工場のPC加工室。PCはポテトチップスの略であり、ここは生のジャガイモをスライスしてフライにする工場の心臓部だ。
約180度の油で揚げられ、検査機器を通過してきたばかりの出来たてを食べさせてもらう。うまい。味材を一切かけていない状態だが、ほんのりと甘味があって油のベタつきもなく、ものすごくうまい。酒井広工場長が言う。
「カルビーがお客様にお届けしたいのは、まさにこの揚げたての味なんです」
工場を一巡すると、ポテトチップスは「野菜の素揚げ」なのだということを実感する。新鮮なジャガイモを、油で揚げているだけなのだ。そして、この「野菜の素揚げ」という言葉は、重要なキーワードのひとつなのである。
カルビーの代表取締役会長兼CEO、松本晃とともに、09年から代表取締役社長兼COOを務める伊藤秀二は、カルビーの生え抜きである。松本が「利益出し」をメーンの仕事にしてきたとすれば、伊藤は主に「マーケティング周り」の仕事をしてきた。伊藤が言う。
「私が最初に社員に伝えたメッセージは、自立的な実行力をつけようということでした。この会社は真面目な人間が多いので、実行力はある。しかし、頭に自立的とつけたらどうですかというのが、私の投げかけた問いでした」