こうした法律の多くを所管することになるのが、2009年9月に発足する「消費者庁」だ。牛島氏は、この役所の存在と消費者主権の強化に「経営者もサラリーマンも注目すべきだ」という。

「自民党政権が続くか、民主党政権に代わるのか。これからは政権交代の可能性を念頭に考える必要があります。消費者庁は自民党案ですが、民主党案は消費者権利院です。司法が消費者保護をリードしてきましたが、これに行政も加わるということです」

特に注目すべきは、民主党の消費者権利院だという。機能・役割の一つに消費者権利官による訴訟援助を持たせたことだ。

「消費者のために、国家機関が訴訟援助をする。そのために企業が持つ内部情報を請求、収集する機能を持たせている。損害賠償請求も適格消費者団体を通じて行える。予算は1000億円、人員は地方機関を含めて1万人を超える。もし、民主党が政権を取った場合、これまでにない、圧倒的なポテンシャルを持った消費者保護機関が誕生する可能性が高いといえます」(牛島氏)

消費者主権の流れを無視すれば、もはや経営もビジネスも成り立たない。

「消費者の目線で経営を行っていかなければ、企業は淘汰される。経営者も、サラリーマンも消費者であり、その視点で仕事を進めていかなければ、取り返しのつかないことになるかもしれません」(牛島氏)

その延長線上に内部監査の充実があると牛島氏はいう。経営者がこうした取り組みに真剣さを欠き、消費者を裏切るような行為が社内で発覚すれば、トップの座を追われ、経営すら危うくなる。トップから末端社員まで、このことを肝に銘じて行動すべきだ。

※すべて雑誌掲載当時

(プレジデント編集部 山下 諭=文)