西村康稔 内閣府副大臣

環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉では、厳しい交渉が続いている。2013年12月7日(土)~10日(火)にシンガポールで行われたTPP閣僚会合に、甘利大臣の代理として出席し、「譲れないところは1ミリも譲らない」とのスタンスで交渉を行なった。

農産物については「重要5品目」に関する衆・参農水委員会の決議を踏まえて交渉し、さらに知的財産保護、投資の保護、政府調達の開放など経済活動のルールづくりも含めた交渉全体の中で、合意への道を見出すべく、粘り強い交渉を行ったが妥協点には至らなかった。2014年早々に開かれる予定の閣僚会合での妥結を目指したい。

TPPが目指す自由貿易や投資の推進、知的財産の保護は、お互いの国の富を増やすことにつながり、日本経済の再生、アジア太平洋地域の発展の1つの契機になると確信している。また、日米同盟の視点からも、米国と一緒にこうした枠組みの構築に取り組むことは、お互いの信頼関係を高めることに大いに役立つに違いない。

本来、世界の貿易・投資などのルールを決める場であるWTOは、160カ国もの国々が加盟し、各国の利害がぶつかり議論が集約できず、機能しなくなってしまっている。この現状を打破するために、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、シンガポールといった成熟した先進国が、まずは有志で自由貿易のモデルとなる新しいルールを作ろうという枠組みがTPPである。

そして、貿易のみならず、投資や知的財産保護などのルールを定め、さらに将来APEC、ASEAN+6などの場を通じて、中国やロシアなどの新興国にも遵守するよう働きかけていこうという発想なのである。アジア太平洋地域においては、APECの場や、ASEAN+6の場(現在東アジア地域包括的経済連携〈RCEP〉として議論)、そしてそのベースとなるASEAN内での議論、日中韓FTA交渉の場など、様々な場を通じて、自由貿易や経済活動のルール作りが議論されている。