パワハラで処分を受けた事例
それだけでなく、暴言を含まない頻回の叱責や継続的な無視をパワハラと認定し、懲戒処分に踏み切る組織も増えています。
2026年3月には、いわゆる「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」で警視庁が懲戒処分を行ったことが話題になりました。
対象となった男性は、部下100人以上を擁する課長などの要職にありながら、約4年間にわたる不機嫌な態度で周囲を萎縮させ、職場環境を悪化させたと認定されました。「反論すると不機嫌になる」「一度嫌われたら終わり」という複数の部下の証言が処分の根拠となっています。
なおフキハラは、日本で作られた言葉で、2022年に『フキハラの正体 なぜ、あの人の不機嫌に振り回されるのか?』が出版されたことで、話題になった言葉です(言葉自体は、その少し前からあったとされています)。そこでは、フキハラは「不機嫌な態度をとることで、相手に不快な思いをさせたり、過剰に気を遣わせたり、精神的な苦痛をあたえること」と定義されています。
問題視される“ハラスメント未満”の言動
職場環境を害しているけれど、ハラスメントとは認定されず懲戒処分にもならない言動が「グレーゾーンハラスメント」です。
継続的ではないが何度か嫌味を言う、書類を受け取る際にあからさまにため息をつく、挨拶されても聞こえないふりをする、相手が嫌がっているのに人格否定を含まない範囲でいじったりからかったりする、といった行為が含まれます。フキハラもその一種です。
こうした行為一つだけでハラスメント認定に踏み切る組織は、現状では多くないと考えられます。しかし、毎日出勤するたびにため息をつかれたり、報告のたびに嫌味を言われたりすれば、誰だって気分が落ち込み、仕事への意欲が低下します。
グレーゾーンの厄介な問題は、ハラスメントの定義に該当しないため、組織内で毅然とした注意・介入が行われにくい点です。事実確認をしても「ハラスメントとは認定されませんでした」で終わり、上司に相談しても「コミュニケーションの範囲内じゃないかな」とたしなめられ、我慢せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。この毅然とした対応ができないことが、攻撃的言動の蔓延を許してしまうのです。

