河川敷のダンボールハウス村

当初は1日1食で生きている高齢者への同情もあり、「生きさせろ!」デモは多くの支持を集めた。それを利用して政府は生活保護の受給資格を年々きびしくし、いまでは不治の病か重度の身体障害がないと申請は認められない。

橘玲『プアジャパン』(プレジデント社)
橘玲『プアジャパン』(プレジデント社)

都市部ではホームレスが激増し、1990年代のバブル崩壊後から半世紀以上たって、上野恩賜公園や新宿中央公園、荒川や多摩川の河川敷にふたたびダンボールハウス村が出現した。

ホームレスや貧困高齢者は、ボランティア団体が行なう炊き出しでなんとか食いつないでいる。

こうした炊き出しの多くは、中国や韓国・台湾、最近ではタイやベトナムなど東南アジアの慈善団体によって行なわれている。日本のNPOには、もはやそれだけの資金がないのだ。炊き出しを手伝うボランティアのなかには、アフリカ系や中東系の若者の姿も多い。

「衰退途上国」ニッポン

皮肉なのは、貧困にもかかわらず日本人の平均寿命がさらに延びていることだ。

これには研究者たちも困惑して、「年金全共闘のようなデモが高齢者に自己実現とコミュニティ感覚を与えている」という論文が一流学術誌に掲載されて話題になった。

だとしたら、世界から「衰退途上国」と揶揄やゆされても、国民が健康で、若者は推し活、高齢者はデモで生きがいを見つけられる日本はやはりよい国なのかもしれない。