国会前の「年金全共闘」と「反老人」

パルプ紙の高騰で紙の新聞は消えてしまったから、iPadを開いてニュースをチェックする。

電子新聞のトップは「年金全共闘」で、ウルトラマンやゴジラ、仮面ライダーなど、なつかしいキャラクターのコスプレをした1000人を超える高齢者が、「生きさせろ!」とシュプレヒコールを上げながら、国会議事堂に向かって行進した。

それに対して100人ほどの「反老人」団体が、「俺たちは捨て石じゃない」などのプラカードを掲げ、「年寄りは涅槃ねはんに行け!」と叫んでつかみ合いになり、警官が止めに入る騒ぎが起きたという。

1年ほど前にニューヨーク・タイムズが、「超高齢社会の末路」として年金全共闘を大きく報じた。するとSNSで話題になり、ライブ配信で投げ銭を稼げることを知った高齢者たちが奇抜なコスプレを競い合うようになったのだ。

彼らが集まる国会議事堂前は、いまでは外国人観光客がインスタ映えを求める人気の撮影スポットになっている。

「生活保護で今日も焼肉」

公的年金には「マクロ経済スライド」という仕組みがあり、インフレではなにもしなくても年金の実質価値が目減りしていく。そうなると、生活保護を受給したほうが得になって、「氷河期世代」といわれる団塊ジュニアを中心に、全国の自治体で生活保護の申請が急増した。

このままでは制度が破綻してしまうので、政府はあわてて年金受給者は生活保護を受けられないようにした。その結果、40年間、真面目に国民年金を納めてきた者よりも、年金保険料をいっさい払わずに生活保護を受給している者のほうが、よい暮らしをするようになった。

そんな生活保護受給者の一人が、SNSに「年金なんか払う奴がバカ。制度をハックして、生活保護で今日も焼肉」と写真付きで投稿してひとびとの怒りが爆発した(のちにこの投稿はフェイクだと判明したが、もはや手遅れだった)。

こうして自然発生的に高齢者が国会議事堂周辺に集まるようになり、年金全共闘と呼ばれるようになったのだ。