妻への1600万円の寄付が致命傷になった
ちなみにサマーズの所属するハーバード大学は、2008年にエプスタインが性犯罪で有罪が確定した後、この男からの寄付を禁止した。ところが実際にはサマーズと彼の妻エリザ・ニュー、同大名誉教授のスティーヴン・コスリンをはじめ個々の研究者レベルではエプスタインとの関係が継続し、彼から寄付を受ける者も何人かいた。
サマーズは自身の妻で、ハーバードで英語学と詩を専門とする教授のエリザ・ニューが手掛ける、ドキュメンタリー番組や教育プロジェクトへの資金援助をエプスタインにメールで直接依頼したこともある。もちろんエプスタインはこれに快く応じ、約11万ドル(約1600万円)を彼女のために寄付した。
2025年までサマーズを何とか守ろうとしてきたハーバード大学も、これらの証拠が明るみに出てしまったことで、もはや世論の反発に抗し切れなくなった。さらに同大の学生や教職員、そして高額寄付者からの「性犯罪者から個人的な恩恵を受けていた人物が教壇に立つべきではない」という批判を受け、サマーズに対して内々に辞職を促したと見られる。
2026年2月25日、サマーズは「自身の過去の(誤った)判断が大学の名誉を傷つけた」として、ハーバード大学の教授職、そしてハーバード大学にわずか20人しかいない最高ランクの称号「チャールズ・W・エリオット大学教授」、さらにモサバー・ラーマニ企業政府センター共同所長などハーバード大学関連の役職全てを辞職すると発表した。
稀代の性犯罪者エプスタインとの関係に深入りしたことによって、サマーズの輝かしいキャリアは完全に汚され、破壊されて終わった。
「イギリス政界の不死鳥」も大ダメージ
かつて英国政界の「闇のフィクサー」として強大な権力を振るい、男爵の称号さえ持つピーター・マンデルソンも、エプスタイン文書によって人生を粉砕された大物政治家の一人だろう。
彼は1953年10月、英国ロンドンに生まれた。祖父は労働党の重鎮ハーバート・モリソンなど政治家一家の出身である。
マンデルソンはかつて英国首相トニー・ブレアの側近として労働党を「ニュー・レイバー(社会主義から中道路線への転換)」へと改革した立役者である。通商産業相、北アイルランド相、欧州委員などを歴任。直近では、2024年12月に英国のキア・スターマー首相から駐米大使に指名され、翌2025年2月に就任した。

