横領事件すら世間から「スルー」される
PTAをめぐる不祥事を例にとろう。2024年、全国の小中学校を中心とした「日本PTA全国協議会(日P)」の元参与が、同会の持つビルをめぐって、工事代金を水増しして約1200万円の損害を与えたとして背任と業務上横領の罪に問われた。この事件を、どれだけの人が知っているだろうか。
同会では、約3年前にも、当時の会長によるハラスメント疑惑が浮上した。その後、その会長と同会との間で裁判となり、ハラスメント対策委員会が「適正手続きという点から十分なものではなかった」として和解に至った。
上記の背任・業務上横領事件では、被告の元参与が、昨年10月に懲役3年の有罪判決が下されたものの、控訴しており、まだ裁判が続いているし、元会長の事案もまた、経緯を見る限り、会長にのみ咎があったわけではないのかもしれない。
ただ、ここで重要なのは、同会のガバナンス不全(のみ)ではない。それよりも、全国の保護者が「PTA会費」として納めた貴重なお金の使い道について刑事事件になったり、その会のトップがハラスメントを疑われたりしながらも、ほとんど世間の関心を呼んでいないところではないか。
子どもが在学中の保護者は、私も含めて、まだこの件について多少の興味を持っているのかもしれない。けれども、大多数の、つまり、就学中の子どものいない大人にとっては、視野に入っていないのではないか。社会の無関心さがPTA問題をとらえにくくしているのではないか。
本来は「自由参加」のはずなのに…
他人事感が強くなるのは、子どもの有無にのみ由来するのではない。PTAが抱える根本的な弱点であり強みから来る。それは、タダ働き、という点である。PTAが非営利であるばかりか、報酬が発生しない組織である点にある。
もちろん、PTAは任意加入、すなわち、入るも入らないも、個人の自由である。憲法学者の木村草太氏は、『憲法の学校 親権、校則、いじめ、PTA――「子どものため」を考える』(KADOKAWA)で日本国憲法に照らして「国家といえども、法律の根拠なしに、個人に対してPTA加入を強制してはならない」と説いている(参考:〈PTAやめたい…ベルマーク集め、見守り活動に駆り出される「ブラックPTA」から親子を守るための法律知識〉)。
「ブラックPTA」と称されるのは、自由参加であるはずなのに強制のように扱われるからであり、さらに、その参加にあたっての活動が無償だからである。木村氏が授けてくれる法律知識は武器になるし、頼もしい。日本を代表する憲法学者のお墨付きがあるのだから、堂々と退会しても良い。

