洋上の貨物船
写真=iStock.com/a454
※写真はイメージです

4月13日午前10時、米国海軍はイランの港を出入りする船舶に対する封鎖を開始した。対象はイランのタンカーおよび、イランの関与のもとホルムズ海峡を通過している船舶とされる。

米国のドナルド・トランプ大統領は、世界の海上石油輸送の4分の1が通過する国際水路ホルムズ海峡の開放をイランに要求している。しかし米国などがイラン攻撃を開始して以降、通航量は約90%減少し、供給不安と原油・燃料価格の上昇を招いている。

12日に戦争終結に向けた米国とイランの交渉が決裂したことを受け、トランプは報復措置として、既にイランが事実上の封鎖を行っているホルムズ海峡を「逆封鎖」すると発表した。

しかし、うまく機能しているようには見えない。作戦開始から最初の24時間で、少なくとも7隻がホルムズ海峡を通過し、その中にはイラン関連のタンカーが4隻含まれていた。

うち1隻は、中国企業が所有し、イラン産原油の輸送で2023年に米国の制裁対象となった船舶だった。14日には海峡の外側のオマーン湾に出たことが確認されている。

米国による封鎖の実効性に加え、そもそも誰を対象とし、何を狙ったものなのかについても疑問が出ている。

多くの専門家は、今回の封鎖は中国向けとみられるイラン産原油を運ぶ「影の船団(シャドーフリート)」を標的にしたものと解釈している。そしてイランの原油輸出のほぼすべては中国に向かっているとされる。

制裁をかいくぐる「影の船団」

世界の原油タンカーの動きを追跡・分析する民間調査機関タンカー・トラッカーズによると、米国とイスラエルが2月28日に攻撃を開始して以降、同海峡を通過するタンカーは戦前の1日平均138隻から、現在は3.4隻まで減少した。

現在ホルムズ海峡周辺で追跡されている船舶には150隻のタンカーが含まれ、そのうち100隻は、主にマレーシア経由で中国に原油を運んでいるとみられる。米国などの対イラン制裁をかいくぐって原油を運ぶ「影の船団」だ。

戦争初期には、少なくとも2隻のタンカーがイランのミサイルや高速艇による攻撃を受けて炎上する映像が確認された。

しかし直近2週間では、航行データサイトの分析から、一部の船舶がイラン沿岸に近い特定のルートを通ってホルムズ海峡を通過しているとみられる傾向が浮かび上がった。

さらに、イランが料金所を設け、200万ドル相当の通行料を人民元や暗号資産で徴収しているとの報告もある。

トランプは、イランに通行料を支払った「すべての船舶」を国際水域であっても拿捕するよう米海軍に指示した。「違法な通行料を支払った者に安全な航行はない」と述べている。

作戦を担当する米中央軍は、取り締まり対象の船舶は「イランの港湾および沿岸地域に出入りする船舶」で、より限定的だと説明している。

北京・復旦大学のアンドレア・ギセリ准教授は、オーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所向けの分析で、「封鎖の最終的な目的は不明確だ」と指摘する。

「一つの可能性は、特に中国などイラン産原油を輸入する国に圧力をかけ、イランに米国の条件を受け入れさせることだ」と、ギセリは言う。「しかし、イラン原油取引に関与した中国所有船が海峡を通過したというなら、この仮説は成り立たない可能性がある」