環境からの感覚情報の大部分に注意が向けられず、記憶されずに流れていってしまうことを「オーバーフロー」と言う。私たちは、朝起きてから夜眠るまで、大量のデータをオーバーフローの中で失ってしまっている。
失われるデータの中には、ひらめきの元になったり、あらたな気づきのきっかけになったり、あるいは軌道修正を促す警告となるものがあるかもしれない。せっかくの「宝の山」を、私たちはみすみす逃しているのだ。
どうしたら、人生のビッグデータを活かすことができるか?
まずは、特定のことばかりに気をとられないことである。いま自分が置かれている状況の全体に、やわらかく関心を向ける。すると、気になることや、注目すべきことが、自然に心の中に浮かんでくる。
別の言い方をすれば、自分自身との対話が大切。ビッグデータのすべてを記憶することはできないが、感情の動きが、よき水先案内人になることが多い。ちょっとした心の動き、ぐっとくること、抱いた違和感、そのような感情の動きをとらえることで、ビッグデータのうち、大切なものに「タグ付け」することができる。
朝起きて会社に行き、帰宅するまでの流れの中に、たくさんの「宝」があることを自覚することが「最初の一歩」となるだろう。
通勤中の何気ない風景の中にも、時代のトレンドを読むための貴重な情報がある。そのような意識で過ごすことで、環境からたくさんのヒントを拾う「ビッグデータの達人」に少しは近づくはずだ。