対策としては、年によって贈与の時期や額を変えるか、「例えば毎年111万円を贈与し、基礎控除額を超えた1万円分に対してのみ贈与税を支払うなど、贈与の証拠を残すのも一策」(長谷川氏)。

次の「相続財産の評価を下げる」方法の代表選手が、10年に新法案が施行された「小規模宅地等の特例」(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)の活用だ。

これは、被相続人が居住用や事業用に使っていた宅地の相続に関して、評価額の一定割合を減額することができる特例で、居住用宅地の場合、上限240平方メートルまでの相続税評価額を最大80%減額できる。

特に配偶者が相続する際には無条件でこの特例が適用できる。子どもが相続する場合は、10年の改正で、相続税の申告期限(死亡後10カ月)までその自宅に継続して住み続けるなど、適用条件が厳格化されているので注意したい。

また、不動産の評価額を下げるには、自宅内の一部区域をアパートにして貸す方法もある。「貸家建付地の評価減」といって、賃貸部分は評価が下がるためだ。こうした不動産対策は一朝一夕にはできないため、早めの検討が肝要だ。

最後の「控除や非課税限度額を増やす」には、配偶者控除や生命保険金の非課税限度額を活用しよう。配偶者には図2で示したように大幅に税額を軽減する特例があり、「配偶者控除を最大限に活用するのが節税のポイント」(長谷川氏)ともいえる。

贈与税についても、配偶者に住宅または住宅取得の資金を贈与した場合、2000万円まで非課税(一生に1度のみ)になる。相続財産を減らす手としても効果的だ。