軽自動車界の宿敵、スズキとダイハツの両トップが一枚岩で反発。今度こそ本気で増税に動き出した総務省を阻止できるのか。

自動車メーカーはみんな怒っている

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軽と登録車、かかる税金の違い

軽自動車税を引き上げる検討が総務省で浮上し、自動車業界は反発している。

「弱い者イジメだ。所得の少ない方が仕事や生活に軽自動車を利用している」「軽の部品メーカーには中小企業が多く、地域の販売店もみな規模は小さい」(鈴木修・スズキ会長兼社長)。

5月末から「自動車関係税制のあり方に関する検討会」がスタート。ここで、軽自動車税の増税が議論されているのだ。すでに2013年度税制改正で、消費税率が8%から10%に上がる15年10月に自動車取得税を廃止することは決まっている。

都道府県税である取得税の13年度税収見通しは約1900億円。市町村税である軽自動車税の税収もほぼ同じ規模。徴税する“ポケット”は異なり、この2つの税は本来は別建てだが、取得税廃止に伴う代替財源としての軽自動車税増税という色彩は強くなっている。

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日本の自動車税はアメリカの47倍

ちなみに、軽自動車税は年間7200円(月600円)。登録車にかかる自動車税(都道府県税)は排気量により年間2万9500~11万1000円。

民主党時代に総務省は「環境自動車税」をつくり軽自動車税増税を目論んだが、大震災などで流れた経緯がある。検討会は軽自動車税増税の具体的な内容を固め、自民党税制調査会(野田毅会長)に提案した。年末の来年度税制改正議論の焦点になるのは間違いない。

「月1000円程度を目標に引き上げていく案がある」(政府関係者)と言うが、「月数百円であってもアップ率は高く、ユーザーへの影響は大きい。消費税が上がるのに、軽自動車税も上がるのはおかしい」(益子修・三菱自動車工業社長)と反発する。

軽自動車税が最後に増税されたのは1984年。その後、消費税が導入された。軽をもたないトヨタと日産は、かつて軽不要論を声高に主張したが、いまは8社すべてが軽を販売しており、業界を挙げて軽増税に反対する。仮に増税されれば、軽は売れなくなり税収が減る可能性は高い。ビール類の増税でも過去に同様の現象は起き、市場全体が縮小していった。