「医学部受験はどこもレベルが高く、それに合わせた勉強が必要です。しかし、本校では医学部進学コースがあるわけではありません。文理分けも3年次からです」と話す小坂先生。志望学部別の指導に分かれるのはセンター試験後のことだという。

「高校3年間は、受験に必要な科目で力をつけることよりも、『学問』として勉強を楽しむことが最優先。人間的な成長をうながすために、幅広くリベラルアーツを身につけさせたいと考えています」(小坂先生)

一方で、熊本には熊高をしのぐ私立はなく、地域トップ校として「医学部進学」に期待される役割は大きくなる。九州他県は私立が強く、ラ・サール(鹿児島)、久留米大附設(福岡)、青雲(長崎)などは、国公立大医学部合格者数ランキングの常連校。これら中高一貫6年制の私立進学校と競い合える学力を3年間でいかに身につけさせるかも大きな課題だ。

だが、多くの公立進学校が私立と対抗するために“予備校化”する流れに反し、熊高では朝の「0校時」や放課後の補習は実施せず、土曜授業も年4回。生徒会や部活も活発で、その時間を確保するため、休み時間を長めにとる工夫もされている。それが、熊高独自の「65分授業」だ。「1コマの時間を長くすることで、勉強時間と休み時間を効率よく確保しました。しかし、長時間、生徒を集中させる必要があるため、授業の質は高くなっています」(小坂先生)

熊本高校進路指導主事 小坂和海先生
「うちの校内模試は問題の質が高いですよ」

こうしたカリキュラムの中で、熊高生の学力向上を支えているのが、3年生になると年5回実施される熊高オリジナルの校内模試である。

「『いい問題』を出題するために、毎回、先生たちで検討会を重ねて作問しています。また、校内模試や定期試験の順位を発表しないのも本校の特徴です。順位付けが意欲を刺激するという説もありますが、検証の結果、まったく影響がないことがわかったからです」(小坂先生)

ある意味、時代に逆行するかのような理念のもと、熊高生はのびのびと高校生活を送っている。部活動の加入率は延べ100%以上。文化祭や体育祭も大いに盛り上がる。