「引当金」は会社の本当の実力を示す

なぜ引当金が必要なのでしょうか。

想像してみてください。ある会社が今年、10万円のウソ発見器を1万台売りました。来年も同じくらい売れそうです。「やった、大儲けだ!」と喜びたいところですが、そのウソ発見器は原価がかさみ、利益率が3%と低く、そのうえ1年間の無料修理保証がついています。そして、まだまだ未知の技術を活用していることから、100台に10台の割合(10%)で故障することがわかっており、修理費は1台当たり5万円もかかります。

もし、引当金がなかったらどうなるでしょう? 今年は販売台数1万台×販売価格10万円×利益率3%=3000万円の利益がありますが、来年は1台当たり修理費5万円×販売台数1万台×故障率10%=5000万円の修理代がかかります。

●今年:「大儲けだ、最高の年だった!」と報告する。
●来年:「去年売った分の修理費用がかさんで、今年は利益がない……」と報告する。

これでは、今年は優良企業に見えても、来年は低収益企業に見えてしまいます。でも、本当はウソ発見器を売った時点で「将来修理する義務」も一緒に引き受けているはずですよね。そこで引当金の出番です。

●今年:売上を計上すると同時に、将来の修理費用の見込み分を費用として計上しておく。
●来年:実際に修理した時は、すでに準備していた費用(引当金)を取り崩して対応する。

こうすることで、売上とそれに関連する費用が同じ年に記録され、会社の本当の実力が正しく表現できるのです。

引当金が持つ「2つの顔」

引当金には「2つの顔」があります。先ほどのウソ発見器の無料修理保証の例で見てみましょう。

1.今年の責任(P/Lの費用)という顔

今年ウソ発見器を販売したことが原因で、将来の修理費用が発生する可能性があります。その責任は、販売した今年にあるべきです。だから、将来発生するかもしれない修理費用の見積額を、今年のP/L(損益計算書)に費用として記録します。

2.将来の義務(B/Sの負債)という顔

ウソ発見器を販売したことで、お客様に対して「無料で修理する」という義務が同時に発生しています。この将来の義務を、B/S(貸借対照表)に負債として記録します。

つまり引当金は、この2つを同時に行う仕組みなのです。

● 今年の責任を費用として認識する(P/L)
● 将来の義務を負債として認識する(B/S)