入浴後の肌は入浴前より乾燥している

入浴時に洗顔をする人は多いと思いますが、入浴後の肌からのTEWL値を測定した実験結果を図表2に示します。

【図表2】入浴後の肌のTEWL値

縦軸はTEWL値を、横軸は入浴後の経過時間を示します。

入浴直後には体が温まることからTEWL値は急速に上昇します。10分後にはTEWL値は大分下がりますが、入浴前に比べて少し大きい値を示しています。つまり、入浴前より肌は乾燥気味になっていることを示します。

その主要な理由を図表3に示します。

【図表3】入浴前と入浴中の肌の状態

入浴すると角層の表面付近の細胞がふやけて、細胞同士の結合が緩くなり、その細胞間から保湿成分であるNMF(天然保湿因子)や水分が皮膚の外に流れ出します。当然ですが、肌の中の物質の濃度のほうが湯舟にあるお湯の中にある物質の濃度より圧倒的に高いため、肌の中の浸透圧は水中よりずっと高くなります。

すると、肌の中の成分は水に溶け出していきます。その結果、肌の中にもともとあったNMFなどの保湿成分が流出し、肌は水分を保持できない状態になってしまいます。

洗顔後・入浴後は「すぐに保湿」が鉄則

さらに石鹼など界面活性剤を使うと、角層表面に分泌され、皮膚を保護し、かつ表面からの水分の流出を防いでいる皮脂が除かれてしまいます。

すると、水をはじけなくなるので、角層の表面はよりふやけやすくなり、内部からの水分やNMFの流出が促進されてしまいます。

皮脂は保湿上とても重要な働きをしています。また角層細胞間脂質であり保湿の役目をしているセラミドも油とみなされて界面活性剤で洗浄されてしまう可能性もあります。

一方、温度の高いお湯に入ったり、長時間お湯に浸かったりすると、角層の細胞の配列がより大きく乱れ、保湿成分等の流出が促進されます。このことから肌に優しい入浴の条件は、42℃より低い温度のお湯、入浴時間は15分以内、そして1日何度も入浴しないこと、という結論になります。

入浴する女性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

以上の実験結果から分かるように、洗顔後も入浴後も、肌はすぐ乾燥状態に陥ります。

浸透圧の差によるNMFなどの流出を防ぐための1つの手段は入浴剤をお湯に溶かして、お湯側の浸透圧を高めることですが、その作用には限界があるので、どうしても入浴後の肌は乾燥状態になります。従って、洗浄後は早めに肌の保湿を行うことが肝要です。その目的で使われるのが化粧水です。