「ろっ骨を前に出す」ことで不調を改善できる
この姿勢を保てるようになると、ひざ関節がしっかりと伸びた「伸展位」をキープできるようになり、ハムストリングスやふくらはぎも、ゆるやかに伸びてくれます。つまり、筋肉が「縮む」「ゆるむ」という自然なリズムを取り戻し、血液もスムーズに流れ始めるということです。
ふくらはぎのポンプ機能も活性化し、筋肉やセンサー(筋紡錘・腱紡錘)にしっかり血液が届くようになります。その結果、こむら返りを引き起こす「誤作動」も起こりにくくなるのです。だからこそ、「ろっ骨を前に出す」という意識は、こむら返りの予防にとって、まさに“体の使い方を変える第一歩”。
肩こり・腰痛・冷え・むくみなど、日々の不調の改善にもつながっていきます。この意識は、以降で紹介するウォーキングやストレッチを行う際にも非常に大切なポイントになります。ぜひ、日常のなかでも「ろっ骨を前に出す」ことを意識してみてください。こむら返りとは無縁の快適な体を手に入れるための、たしかな突破口です。
血流を高めるにはウォーキングが効果的
それではここからは、実際に「ろっ骨」への意識を取り入れた運動を紹介していきましょう。「ろっ骨を前に出す」――それだけで、運動の質が大きく変わります。
本稿で紹介するのは、ウォーキング、足踏み、ストレッチ、スクワットなど、どれも簡単にできるものばかり。なかでも、全身の血流を高める効果がとび抜けているのが「ウォーキング」です。ざっと挙げるだけでも、ウォーキングには次のような効果があります。
①筋肉の「ポンプ作用」で血流アップ:歩くことでふくらはぎや太ももがしっかり動き、血液を心臓へ押し戻すポンプ機能が向上。血流がアップし、冷え・むくみ・こむら返りの予防に効果的。
②血管が広がり、酸素と栄養が体のすみずみまで届く:血管をしなやかに広げ、毛細血管の増生も促進。酸素と栄養がすみずみまで届き、筋肉のセンサーの異常を防ぎます。
③血液サラサラ、酸素が全身をめぐる:ウォーキングによって余分な糖や脂質がエネルギーとして消費され、血液の粘度が下がります。その結果、酸素が体の末端まで行き渡りやすくなります。
④自律神経を整える:日光と軽い運動で「幸せホルモン」であるセロトニンの分泌を促進。心も体もリラックスし、血圧・血流の安定にもつながります。
⑤心臓を強くする:心臓の筋肉が鍛えられ、血液を効率よく全身へ。脱水やミネラル不足によるこむら返りの予防にも有効です。
⑥筋力アップ:とくに下肢の筋肉が自然に鍛えられ、血流が改善。大腿四頭筋やふくらはぎなど、こむら返りに関係する筋肉がしっかり働くようになります。
ウォーキングには、筋肉量の維持・増加、感覚器官の活性化、水分代謝の改善、自律神経の安定といった、こむら返りが起こる“土壌”そのものを変えてくれる力があります。
だから私は、患者さんから「こむら返りが起こりにくい体にするにはどうすればいいですか?」と聞かれたとき、必ずこう答えます。「まずは歩きましょう。それが一番手軽で、一番効果がありますよ」と。

