血流不良の根本にある「骨盤の後傾」
本稿で紹介するウォーキングやストレッチには、こむら返りを防ぐ効果をグッと高め、全身の血流を改善するための「あるポイント」があります。それは、「ろっ骨を前に出すこと」です。
単に姿勢をよくするテクニックではありません。じつはこれ、多くの人が陥っている“悪癖”を正すことで、体の土台そのものを整え、こむら返りが起こりにくい体をつくるカギとなるのです。その悪癖とは、「骨盤の後傾」。
この姿勢のクセは、じつは多くの日本人に見られる傾向があるともいわれるほどの、“国民的な悪癖”です。そして、それこそがこむら返りを引き起こす“見えない引き金”となっていることは、意外と知られていません。どういうことかというと――。
まず、骨盤が後ろに傾くと、太ももの裏側にある「ハムストリングス」がつねに収縮したまま、「緊張し続けている状態」になっていきます。この状態が続くと、筋肉がこわばり、ふくらはぎにまで疲労がたまりやすくなっていき……。その結果、血流が悪くなり、筋肉のセンサー(腱紡錘)が誤作動を起こしやすくなるのです。
つまり骨盤後傾とは、筋肉のバランスを乱し、血流を悪化させ、こむら返りを誘発する、「土台の歪み」なのです。
それは逆にいえば、骨盤を立てた姿勢を意識するだけでハムストリングスの緊張がゆるみ、血流がスムーズになるということ。センサーの働きも改善され、こむら返りが起こりにくい体に変わっていくということです。
「綺麗な姿勢」のポイントは肋骨にある
しかも、この骨盤後傾がもたらす悪影響は、こむら返りだけではありません。例えば、背骨本来のS字カーブが失われてしまうことで、立ったり、歩いたりする際の衝撃を吸収できなくなり、腰に直接的な負担がかかります。
そのため、慢性的な腰痛に悩まされることも珍しくありません。骨盤は、背骨を通じて腰から背中、首へと連動しているため、骨盤の後傾は腰椎の歪みとなり、そのまま背中や首の痛み、肩こりの原因にもなります。
骨盤を前傾させ、姿勢を改善すること。それこそが、血流をよくして、こむら返りを防ぎ、ひいては、全身の健康にもつながる大切なカギです。そして、そのポイントになるのが「ろっ骨」です。
ここでひとつ試してみてください。「正しい姿勢をとりましょう」と言われたとき、多くの方が「背筋を伸ばす」「胸を張る」といったことを意識しますよね。そうではなく、イラストを参考に、ろっ骨を前に出す「ろっ骨立ち」の姿勢をとってみてください。
どうでしょうか? 自然と腰が立ち、ひざもスッと伸びて全身の重心が変わる感覚があるはずです。「ろっ骨を前に出す」ことで、骨盤が立ち、姿勢は正され、体の軸が安定してきます。
さらに、頭のてっぺんが「上から糸でつられている」ように意識すれば、全身のバランスが整い、見た目にも美しい姿勢になります。


