山勘と直感は何が違うのか

注意を要するのは、こうしたひらめきと山勘はまったく別ものだということだ。ひらめきは脳内に膨大な蓄積があって初めて可能になるが、それには自分の専門分野について日夜考え続けていることが前提条件となる。一方の山勘は、単なる当てずっぽうにすぎない。脳内に蓄積がないから、当たり外れの域を出ない。

直感力を磨くには、日頃から第一感を使うことを習慣づけておくといい。第一感は私の造語だが、「なんとなくいいほうを選択する」感覚のことだ。ランチひとつ食べるにしても、いつもの店でいつものメニューを選ぶのではなく、思い切ってなんとなく気になっていた店に入り、なんとなく気になるメニューを選んでみる。通勤経路も毎日同じ道を歩くのではなく、5パターンぐらい用意しておいて、その日になんとなく歩きたいと思った道を選ぶ。こうした小さな冒険やミニ探検を重ねることは、直感力を磨くいいトレーニングになる。

直感力が冴えてくれば、かつてないアイデアを生みだしたり、革新的なデシジョンを下せるようになる。宝の山をやすやすと手にできるようになるのである。

鹿屋体育大学教授 児玉光雄
1947年、兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学修士。元米国五輪委員会研究員。著書に『イチロー式集中力』(PHP文庫)などがある。
(構成=山田清機 写真=時事通信フォト)
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