米国の協力で円安は一服
日本は選挙戦の真っただ中だが、争点の一つである消費減税の議論はいささか後退した感がある。高市早苗総理は、衆議院の解散を表明した際の記者会見で、2年間に限定し、食品類に課す消費税を撤廃することを検討するとの公約を掲げた。さらに、行き過ぎた緊縮財政を見直すとも発言し、先行きの財政拡張に対して含みを持たせた。
これらの発言が材料視されて、債券相場と円相場の下落に拍車がかかった。国債に関しては、外国人投資家の保有比率は発行残高の10%を超える程度だが、売買そのものに占める割合は5割を超えている。円相場も、金融要因で売買を行うのは主に外国人投資家だ。彼らが総理の発言を材料に、国債売り・円売りを加速させたわけである。
その後、片山さつき財務相は米国のスコット・ベッセント財務長官と会談を設け、円相場の下落に関して話し合った。日米でドル売り円買いの協調介入が行われることへの思惑が高まったこと、さらに、ニューヨーク連銀が実際に介入の前段階であるレートチェックを行ったことで、160円間近だったドル円レートは152円まで急騰した。
後退した消費減税議論
こうした動きと歩調を合わせるように、高市総理は消費減税に関する発言を抑制するようになった。そもそも円安ドル高是正のために日米が協調介入をすること自体、異例中の異例である。この異例中の異例を行う以上、ベッセント財務長官は消費減税に関する発言を抑制するよう、片山大臣を通じて、高市総理に要請したのではないか。
仮に正しいとして、ベッセント財務長官はなぜそう要請したのか。それは米国自身が急速な金利高でありドル安に直面しているからだろう(図表1)。日米の経済は密接であるため、日本が危機的な状況になれば、米国のみならず世界経済に混乱をもたらす可能性が高まる。ゆえに、ベッセント財務長官はクギを刺したのだと考えられる。


